朝子 Side
昨日、山内 緑さんの相談事業所から、明日の9時から担当者会議を開けないか?との相談があった。
担当者が、どうしてもその時間しか行けないとのことで、こちらとしては特に先約もなかったから承諾した。
カタカタカタカタ
AM6時半
事務所で一人、パソコンとにらめっこ。
今日の午前中にやろうと思っていた仕事を終わらせてしまいたかった。
「眠い……」
5時起きだったからか、パソコン画面を見ながら急に睡魔に襲われた。
私は東京出身だ。
田舎生活に憧れて、田舎の大学に進学、そのまま大学の近くにある 風 に就職した。
ここは海の町だ
夏は海水浴客で賑わうし、温泉もたくさんある。
それ以外は何にもない町。
田舎だから、精神疾患を持っている方に対する理解はない。
利用者さんは皆、偏見や差別を受けたことがあるし、生きづらさを抱えている。
うちの社長は、この町で、精神疾患の方達が働く場所を増やしたいと、日々奮闘している。
事業も広げたいし、事業所も増やしたい。
やっと2号店ができて、事業自体は良い調子できている。
前任の青山さんが 風 をここまでにしてくれた。
私も 貢献したい。
「おはようございます…」
事務所のドアが開いて、相原君が眠そうな目をこすりながら入ってきた。
「」
私の今の悩みは、職員の確保だった。
辞めずに働き続けてもらうためにはどうしたら良いんだろう…
ここのところ、毎日考えている。
相原君 杉山君 山田さん 松永さん
皆にずっと働き続けてもらうためには…
「…全然進まない……」
パソコン画面に視線を戻した。
ドクンッ!!
大きく心臓が脈打つ。
ドクン!ドクン!ドクン!
まずい…
鼓動がどんどん速くなる
「ふぅー…ふぅー…ふぅー………」
私はゆっくり深呼吸をして 目を閉じる
ただ、この波が通り過ぎるのを待つ。
何も考えない
何も考えない
ただ待つ
ゆっくり深呼吸をして




