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VOICE  作者: らんぷー
7/12

アヤセ Side

「おはようございます……」


AM7時半


裏口のドアを開けて中に入ると、すでに事務所には四宮さんがいて、難しい顔でパソコンを見つめていた。


「おはようございます!ごめんね、急に…」


四宮さんはパソコン画面を見つめたままだ。


「大丈夫です」


それだけ言うと、2階に上がって今日の作業の準備を始めた。


俺は、古着のネット販売を任されている。


風の古着部門では、常時500着位の服を3つのサイトで併売している。


朝イチで、まず、購入希望者からメッセージがきていないか?のチェックをする。

来ていたら他のサイトの出品を停止し、購入希望者に購入可能であることをメッセージで知らせる。


その後は利用者が、入金確認、梱包、出荷などをしてくれる。


出品する服も常に控えていて、採寸したり汚れやホツレのチェック、出品、在庫管理なども利用者の仕事だ。

俺は、全ての作業をその都度確認し、ミスがないようにサポートする。


古着の担当利用者は7人。


鬱、統合失調症、発達障害など、疾患、障害、年齢性別はみんな違う。


でも、比較的おとなしい人が多くて、個人的にはかなり働きやすい部門だと思う。


俺は元々社交的なタイプじゃないから、全く話しをしなくても、沈黙が続いても、全然苦にならない。


配信中、1時間もべラベラ話せるのに、

女のコに、甘い言葉を、ささやくことは、いくらでもできるのに、


俺は、人と話すのが苦手だ。

コミュニケーションをとるのが苦手だ。


できれば、仲の良い友達以外とは関わりたくないし、彼女が欲しいとかも思わない。




「この仕事は、コミュニケーション能力が必要だよ?大丈夫ですか?」


面接の時、四宮さんに言われた。


俺があまりにも無表情で、はい、いいえ、しか言わなかったからだと思う。


前の管理者のからは、無理なんじゃないか?と、直接言われたほどだ。



じゃぁなんで採用されたのか?


謎だけど、


俺がここに来て一年のうちに、職員が2人辞めている。

辞める人が多くて、誰でも良かったんだと思う。


「よし……」


AM8時


俺がやるべき作業は終わらせて、一階の事務所へ戻る。


「おはよー!」


支援員の先輩、50歳 主婦山田 香苗さん、

42歳 主婦松永 友美さん 

入ったばかりの後輩 、35歳の杉山 公平さんが、雑談している。


四宮さんは、まだ難しい顔でパソコンを打っている。


「今日、9時から山内さんの担当者会議があります。私と相原君が出席するので、杉山さん古着に入ってもらえますか?」


四宮さんが早口でそう言うと


「じゃぁ、杉山さんの持ち場を私と松永さんで見ますね。」


ベテラン山田さんが応える。



「相原君、杉山さんに引き継ぎお願いね!横山さんが昨日からあんまり良くないから、杉山さん注意して見てください。メール対応ミスが出やすいから気をつけてね!」


四宮さんは、俺と杉山さんをチラッと見てそれだけ言うと、また忙しそうにパソコンを打ち始めた。




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