アヤセ Side
PM 4時
利用者が帰り、職員ミーティングがはじまる。
職員ミーティングでは、その日の作業内容、利用者の様子を報告しあう。
その際、特に気になる出来事があれば全員で共有する。
今日は俺が1番にテーブルについた。
次に四宮さんが座る。
他の職員は明日の準備がまだ終わらないのか、バタバタしている。
「担当者会議、どうだった?」
四宮さんが、利用者の日報を読みながら俺に話しかける。
「まぁ、、特には…」
「明日は山内さん、来るみたいだから、よろしくね」
「はい。」
「落ち着いたら、お母さんを呼んで、一度話す機会をもうけたいから、その時はよろしくね。」
「僕も入るんですか?」
「相原君が決めればいいよ。嫌なら、入らなくて大丈夫。」
「…………」
四宮さんは、日報を見たまま、こっちを見ない。
「それって、どういう意味ですか?」
その言い方はずるいんじゃないか?
俺は少しイラッとした。
四宮さんは顔を上げて俺を見た。
「ごめんなさい、嫌味で言ったんじゃないよ。
本当にそう思っただけ。」
それだけ言うと、四宮さんは、また日報を読み始めた。
俺は急に恥ずかしくなる。
そう、
四宮さんは、嫌味を言ったり、遠回しに匂わせたりするような人ではない。
少しのことでイラッとしてしまう、自分の幼稚さに 恥ずかしくなる。
でも、俺が
なんだかんだ、ここにいるのは、四宮さんが上司だからということもあるんだ。
俺や、他の職員に対して、対等に接してくれる。
多分、この人は、すごく優しい人だと思う。
「どっちでも…」
出来れば避けたい。
本音はそうだった。
四宮さんは、そんな俺を真っ直ぐ見て
「自分で決めてほしいのよ。」
そう言った。
26歳。俺とたった2つしか違わないのに、
こういう時は、本当に、なんというか、
俺は子供みたいだ。




