表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/102

7.

 そんな父王の思惑など、どこ吹く風でルルドールは着々とアビゲイルとの距離を縮めていた。やはり護衛をクリストファーにしたことに間違いはなかった。彼は侯爵家の次男坊だか、幼い頃から騎士に憧れ、侯爵である父が止めるのも聞かず、さっさと家を出て騎士団に入ってしまったのだった。


 歳はルルドールの5歳上の21歳、ラドハルト国では珍しい黒髪を短く刈り上げ、同じく漆黒の瞳は狙った獲物は逃がさない獣のように光っている。日焼けした端正な顔、筋肉質で逞しい大きな体はルルドールなど軽く持ち上げることが出来るだろう。身長は195cmあり、ルルドールが天使のように美しい男なら、クリストファーは悪魔のような魅力をもつ男だった。


『ちっ!僕だって後5年も経てばクリストファーみたいに大きくなるのに……』現在、身長171.56…cmのルルドールはこの親友にささやかなジェラシーを感じていた。いや、しかし待てよ。確かにクリストファーはカッコいいかもしれないけれど、とても残念な性癖を持っている。ルルドールは前に一度、勇気を出して聞いてみた事があった。


『ねぇー、クリストファー。』


 目をキラキラさせながら、おずおずとルルドールが尋ねる。


『な、なんだ?』


 何故か心持ち頬を染めつつクリストファーが応えた。


『クリストファーってさ、えーと……そのぉ~』


『だから、なんだよ?……な、何がいいたいんだよ』


 何故か心持ち息をハアハアさせつつクリストファーが応えた。


『うん、思いきって言っちゃうよ。クリストファーってホモなの?』


『!!……………………う、うぉぉぉー!!ち、違う!俺はホモじゃなーーーい!!』


 クリストファーは顔を真っ赤にしてさっきより激しく息をハアハアさせながら否定した。


『え?違うの~!?』


『あ、当たり前だぁー』


『なんだ違うのか~。だってさー、初めて会った時、クリストファーてば僕を見て「ごくん」って唾のんだよね。僕、食べられちゃうのかと思ったよー。』


 笑いながら無邪気に話すこのいたずら妖精をどうしてくれようかとクリストファーは思った。ああ、本当に食べてしまいたい!!しかし、彼は騎士団で培った精神力でこの劣情をなんとか抑え込むことに成功したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ