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第7話「セーフゾーンへ」

俺が何も話さないでいると、誠はおぶり始めた。


「姫路、歩けるか?」

「な・・・なんとか歩けます!」


俺が誠におぶられて教室を見ると、デーモンが右手で学級委員を天井近くまで持ち上げていた。

「うあああああ!!やめろ!やめてくれ!!」

デーモンが右手で学級委員を持ち上げる。

必死にもがくも、その怪力にはとうていびくともしない。

デーモンは張り裂けそうな大きい口を開く。

俺たちは歩き出し教室の外へと出ようとする。


「おい!お前ら!助けてくれよ!な?友達だろ?」


恐怖で引きつった顔で俺たち三人のほうを見てくる。


「隼、姫路、見るな」


誠は下を向きながら首を横に振った。

なんで誠はこんな状況でも足が震えたりしないで冷静さを保てるんだ?

今の俺にはそれがわからなかった。

そうして俺たちがこの教室から出ると廊下にまで学級委員の悲鳴が聞こえた。

廊下を一心不乱に走り出す。

他の教室も血で赤く染まっている。

この恐怖を今生きている人全員が味わっているのかと思うと身震いがした。

現実離れした光景に目を疑いながらも俺はおぶられながら昇降口へとついた。

上履きのまま俺たちは外に出ると、教室以上の光景が俺たちを襲った。


「まじかよ・・・」


俺と誠は同時にその言葉を口にした。

コンクリートでできた道路は緑のカーペットが敷き詰められているような草原になっていた。

建物は斜めに傾いているのもあれば、倒壊して鉄コンクリートの塊になってるものもある。

草原には、斧を持った豚のような化け物、緑の皮膚をして、棍棒を持った人型の化け物がこの草原を徘徊している。

大きく聳え立つ塔は校舎の裏側にあり、それの頭上には雷雲が浮遊していた。


「どうする?」


木の茂みに身を隠し、誠は俺を地面へと下ろした。


「本当にゲームの世界にきてしまったのか?」


「俺たちが行ったわけじゃなくて、こっちの世界がゲームになったんだよ」


誠は頭を抑えながらそういった。


「もしそうだとしたらこの後どうする?」


「ゲームにはクリアがあるんだ。」


誠はメニューバーを開きマップというタブをタップした。

マップが俺たちの前に出現する。

それは日本地図と形がほとんど、いやまったく変わっていない。

しかし県境は無く、東京の県名がが三大王都東京に変わっていた。

その他にも三大王都大阪、名古屋が書かれている。

その三大王都には薄い色で描かれた城のマークが出ている。

王都。

ゲームならそこは賑わっていてゲームを進める上での鍵を握っている重要な場所なはず。

俺たちが今いる場所は千葉県市川市。

マップの左下には方位磁針のようなものが着いている。

ここから西を目指せば東京に着くはず。

それしかない。


「東京を目指そう」

「俺もそれを言おうとした所だ」


姫路も俺の意見に賛成したらしく相槌を打った。


「家族は大丈夫なのでしょうか」


このときまで自分にとってかけがえのない宝である家族を忘れていた。

そのことを考えると急に心臓が握りつぶされているようなつらい感覚がする。


「きっと会えるさ」


誠は俺と姫路の肩をぎゅっと掴んで言った。

そういわれると心のどこかでほっとした。

姫路は俺の背中をさすり始め、どこか聞き覚えのある言葉を口にした。


「ヒール」


微量ながらHPゲージが回復する。

背中の妙な違和感も無くなり右腕を振り回すことができた。


「これは?」


誠は驚いた表情で姫路を見つめた。


「画面をを見ていたら、魔法の中にこれがあったので・・・」

「ありがとう。これで歩ける」


俺たちは地面を一歩一歩踏みしめて東京へと歩き出した。

そして俺の中にふとこの言葉がよぎった。

この地球が壮大なゲーム機だと誰が知っている?

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