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第6話「絶望」

机が俺の背中に強く当たり、俺は床へと倒れこむ。

デーモンの豪腕から放たれた机によって、強烈な痛みが俺を襲う。

その痛みは一瞬感じるだけであった。

頭の中にHPゲージが出現し、それが減っていき緑から黄色になる。

姫路は潤んだ瞳になり俺をみつめる。

何かを言おうとしているが、言葉に出せない様子だ。

膝を床に突き、机に手を乗せて立とうとするがすぐに倒れてしまう。

この時先ほど机があたったときの痛みは消えていた。

痛みはないのになぜ立てないんだ。

もし、これがゲームの世界でなかったならば、痛みで動けなくなっているだろう。

背骨が砕けてもおかしくないぐらいの威力だったから折れてそうだな。

本当にゲームが始まったのか。

そんなことがおきるなんて信じ固いが、信じるしかない。

そして、なぜ俺はあまり関わったことのない姫路を助けたのだろうか。


「大丈夫ですか・・・?」


姫路をかばった俺に、かなり動揺をしているようだ。


「大丈夫だよ。姫路さんこそ怪我はない?」

「はい。私なんかのために本当にすみません・・・。」

「お礼はここから生き残れたらでいいから。身体が勝手に動いただけだし」


もう、致命傷を負った俺には、デーモンと戦う策など考える余裕などなかった。

痛みはないものの身体は痺れたようにうごかない。

絶望な状況からさらにその状況は悪化した。

姫路を・・・。姫路だけでも助けることができるなら・・・。

死因が誰かを助けたならそれもそれでいいじゃないか。

倒れている俺にデーモンの後ろを通った誠が走って近づいてくる。


「早く逃げるぞ!」

「いや、この身体のまま一緒に逃げたとしても足手まといになるだけだから逃げてくれ。俺のかわりに姫路さんを・・・」


突然、俺の頬に稲妻のような痛みが走る。

どうやら誠に殴られていたようだった。

その時、死を覚悟していた気持ちが一気になくなりその悪夢から目覚める。

そしてHPゲージが若干減った。


「お前、こんな状況で何を言ってるんだよ。多くの人が殺されてるのに、何にも思わないのか!時間がないんだ。こう話してるときにだって――」

「やめてくれえ!ぎゅあ」


クラスメイトの奇声が俺の耳に突き刺さる。

こんな誠を見るのは初めてで、俺は驚きを隠せない。

この状況は、普段温厚な性格の誠でさえもこんなにも変えてしまうほどでもあった。

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