しらゆきにっき!
ボクは白雪。雪みたく白い猫だよ。
前を歩くのはシマ兄ちゃん。シマシマな猫だ。
しっぽゆらゆら、とびつきたい。
そういえば……。
「ねぇシマ兄ちゃん。 《めでたい》ってなぁに?」
にんげんが言ってた。
「あ? 幸せな事だな」
「幸せな事って?」
「あー、クロおじみたいなヤツだろ?」
「クロおじちゃん?」
クロおじちゃんは黒い猫で、いつもお腹いっぱい食べてはお腹を上にして「幸せだぁ~」って言ってる。
そっかぁ《めでたい》って《お腹いっぱい》って事なんだ。
「白雪、シマ」
「あ! ミケさん!」
ミケさんはクロおじちゃんのツレアイなんだって。
「ミケさん! ボク《めでたい》わかったよ! クロおじちゃんなの!」
「お~、よくわかったな。 確かにアレはめでてぇな。 何せ頭までめでてぇからな~」
「頭も!」
クロおじちゃん、頭まで食べ物でいっぱいなんだ……。
クロおじちゃんを見たら何だかあの頭に魚がバシャッバシャッしてるような気がして、ブァッて毛が立った。 なんか、ヤダ!
だって頭ないと、バカになっちゃう!
そういえば、クロおじちゃんはミケさんによくバカって言われてる。
クロおじちゃん、頭めでたいから……。
どうしよう、幸せにはなりたいけど。
お腹いっぱいにはなりたいけど、頭いっぱいはやだぁ。
「どうした?白雪」
「シマ兄ちゃん。 ボク、クロおじちゃんにはなれないみたい。 お腹めでたいのはいいけど、頭めでたいのはやだ」
ショボンと耳をたらしたら、ミケさんが「なるな、なるな」って笑ってた。
「めでたいのはクロおじだけで十分だ。 めでたいのショーゴーはクロおじにあげとけよ」
「うん! わかった」
ボクはえらい子猫だからね。 クロおじちゃん好きだからしょうがない。
でも、たまにはボクのお腹もめでたいにしてもらおう。
こうしてボクはめでたいをクロおじちゃんにあげたのだった。
おしまい。