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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第十七話:PVP直前の光景

そしてPVP当日。舞台となる第2エリアコロセリムは満員となっていた。入れなかったプレイヤーのために、場外には多数のモニターが浮かび、多くのプレイヤーがそのモニターにくぎ付けになっている。一部NPCもいるが。


そのプレイヤーたちを狙っていくつかの露店も並んでいる。アクセサリーやらアイテムを並べている現実でも存在する本場の露店組、【料理】スキルで作成したお菓子や食べ物を売ってる料理組、同じく【鍛冶】スキルで創った武器防具を売りながら研磨も行っている鍛冶組が円型のコロセリムを囲うように露店を配置し、上から見れば円を三分割しているのがわかるだろう。

最もそのせいで様々な露天同士の争いも起こっている。選ぶのは客だが、自分が出したアイテムが選ばれず、隣の露店のアイテムを買って行ったらいい気はしないだろう。

それは店を持つ者としては同意できるが、同時に避けられない運命なので文句は言わず受け入れてほしい。


中には出場予定のプレイヤーが最後の調整として研磨したり同じパーティーメンバーと食事したりする姿も見える。特に研磨を求める客は多く、そのため現在鍛冶エリアは一番盛り上がっている。


そしてその鍛冶エリアに俺は露店を出していた。


「なあ、やっぱりおかしくない?」

「それはそうなんですが……あ、研磨ですか?」

「ああ、頼むよ。それと、ポーションとアイスをくれ。ポーションは5つ。アイスは……これは何味だ?」

「これはフィルナナっていう果実だ。現実だとバナナに似てるな」

「ならそれを三つ頼む」

「まいど~」


セルを受け取り、アイテムとお釣りを渡す。軽く雑談しているとシュリちゃんも研磨を終えたので剣を返す。去っていくプレイヤーに二人揃って「「ありがとうございました~」」と頭を下げる。


するとまたしても俺の露店に人が来る。


「あ、私にもフィルナナのアイスくれます?」

「おいくつで?」

「一個でいいわ」

「ちなみに、ここで食べますか?」

「それでおねがい」


俺はフィルナナのアイスと、アリアさんの雑貨屋で買った(代金はアイス)皿、そしてスプーンを渡す。


「あら? スプーンもあったの?」

「ああ、さっきの客には付けてないですけど」

「女性限定サービスってところ?」

「いえ、ここで食べる人限定です。数に限りがあるので」


そう言ってフィルナナのアイスを渡すとセルとウインクを頂く。


「お釣りはいいわ。その代わり、フレンド登録しない?」

「残念ですが、それは断っているので。お隣終わったようですよ?」


右隣の店を指す。そこには研磨された剣、こちらは細いのでレイピアと思われる、を持っている鍛冶プレイヤーの姿。アイスを受け取った女性は、一旦レイピアを腰に差すと近くの岩へと歩いて行った。


「いや~良い場所を取ったもんだ」


そのままこっちを見つめていた鍛冶師プレイやーが笑っている。ちなみに男性だ。


「こっちとしては周りの鍛冶師に申し訳がないよ」


すでにお気づきだと思うが、本来は鍛冶師エリアの一角で俺は出張版ルーチェを経営している。


事の始まりは前日ダイブアウト少し前に届いた一通のメール。


「シュリちゃんか。内容は『PVP当日お暇ですか?』?」


内容を見て首を傾げる。当日は宝石店との戦闘があるが、一応どういうことか返事をしてみる。


続いて届いたメール。それを見てさらに首を傾げる。


「『相談したいことがあるのでこれから来れませんか?』?」


何やら深刻な気配がするのでドワーフ族エリアに転移し、シュリちゃんの工房を目指すため足を動かし、すぐに止まった。


噴水広場にシュリちゃんがいたからだ。そして他にもたくさんのプレイヤーも。


事情が分からず、歩き出した格好のままでフリーズする。そんな俺の心境を知らず走ってくるシュリちゃん。


「あ、あの?」

「……あ、ごめん。それで何の用事?」


取りあえず自分自身を落ち着かせる。しかし、厄介ごとなことには変わりなさそうだ。


「あ、はい。実はですね……」




その後シュリちゃん曰く「PVPに向けて鍛冶師が連合を組んで場所を確保したのですが、一人当日どうしても来れなくなった人がいて、そうすると空いた場所を巡って露店組と料理組が争いになるから、そこに出店してくれませんか?」ということ。

当然の疑問として「俺、鍛冶師じゃないけど?」と訊くが「出張ルーチェと言うことでいいです。アルケさんなら料理もアイテムもどっちも出せるので」と答える。


『それでも露店組・料理組が文句を言うのでは?』と思ったのだが、そこはなんとかすると他のドワーフ族プレイヤーたちが答えてくれた。何やらやる気になってるが一体何があったのやら?


少し前なら大量のセルがあったが、高額な買い物をして懐がさみしいのは事実。そして杖を創るために必要な宝石は当然高いと考えるとセルを稼いでおくのも悪くないかと思って了承してしまった。


さっそくアトリエに戻り、セリムさんと一緒にポーションとアイスを調合。高額な金額を支払っただけの効果があり、さらにセリムさんが上機嫌で調合と採取を繰り返したおかげで結構な数を用意することができた。


なお、ダイブアウトしてから宝石のことを思い出したが、すでに後の祭りだった。




そして現在、その在庫はPVP開始前なのにすでに半分となっている。研磨している待ち時間で買っていくプレイヤーが多いからだ。

さらに口コミで広まったのか、新味のフィルナナアイスを求めに女性プレイヤーが殺到した。一応そのプレイヤーたちはシュリちゃんや他の鍛冶プレイヤーの店でも買い物や研磨をしていったので、周りも儲けている。


それはいいのだが、これ本当に露店組や料理組から反感来ないのか?


「お疲れ様です」


そんなことを考えていると新たな客が来た。ってお疲れ様?


「覚えてないですよね。ラインと知り合いの料理人です」

「ああ、あの時の」


わざわざ料理組のエリアから足を運んでくれたようだ。となると、目的は……まさか苦情か!?


「え~と、これには深いわけがありまして……」


何とか弁解を考えるが彼はそんな俺を見てくすくす笑っていた。


「いえいえ、文句を言い来たわけではないですよ」

「そう、なんですか?」

「ええ♪」


あれ? なんかニュアンスが変わってませんか? それにどこかで見たような笑みが……


「しかし、鍛冶師組のエリアで料理を売ってるのは事実ですよね?」

「それは、はい」

「なので、その料理を提供してください。と言うより、寄こせ」

「口調まで変わってませんかー!?」

「いいから寄こせ♪」


この日、笑顔は怒った顔よりも怖いことを知った。




フィルナナアイスを提供すると彼は去っていった。しかし、新味のアイスを見てなにやらブツブツ言ったのは何だったのだろう。新しいアイディアだと信じたい。


「この調子だと露店組からも何か言われそうだな」

「それだが、それは無い様だぞ」


はて? 隣の鍛冶師プレイヤーが教えてくれたが何故に?


「向こうの主な販売品は能力向上のアイテムやアクセサリーだ。ポーションは今のところはまだ売ってないから問題ない」

「売ってない?」

「試合が始まって無くなった頃を見計らって売り出すらしい。露店組近くの鍛冶師プレイヤーから情報が届いた」


確かにその方が高値で売れるわけか。しかし、がめつくはないか?


「お前さんが想像していることもわかるが、こういうところでは普段よりも高くなるのはいつものことだ。よく、テーマパークに行くと自販機の値段が上がるのと同じことだ」

「そういうものなのか?」

「ああ、実際試合が始まったら俺たちも研磨の料金の引き上げを行うからな。と言っても、50~100セルの間にすると全露店プレイヤーで決めている」

「……シュリちゃんも?」

「いえ、私はそこには参加しません。参加するのは自店を持っていない方だけです」

「こうでもしないと店を買うだけの資金が集まらないのでな」


なるほど、いろいろ事情があるわけだ。

次回はPVPとなりますが、作者は戦闘描写が苦手です。がんばりますが過度な期待には答えられないかもしれません。

だれかうまく書く方法教えてください……

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