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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第二話:新たな出会い

章タイトルのことをすっかり忘れていました。もしかしたらタイトル名は変更するかもしれません。

ルーチェの経営が順調な中、公式ページでCWOパッケージの発売第二弾の日付が1ヵ月後だと発表された。

この発表を受け、多くのギルドは新規参加者を獲得すべくそれぞれのギルドの強化に努めている。


その内容は主に三つ。


一つはギルドの拡張。

ギルドにもレベルが存在し、レベルが上がればギルドをさらに大きくできる。そのため、最近ソロプレイヤーや固定パーティーへのギルド勧誘戦争が勃発している。


前にテレビで見たことのある大学のサークル勧誘を過激化した光景と言えばわかりやすいだろう。


二つ目は戦力。

新規獲得も必要だが、現存メンバーの強化も当然大事だ。

特に前のエリアボス討伐に加わったギルド以外のギルドがこれを行っており、目指すは第2エリアボス討伐戦への参加と思われる。


そのせいで、第2エリアのフィールドは大混雑しているようだ。


三つ目は設備の充実。

最初の拡張と似ているが、こっちは内装を整えるという感じだ。設備はコルを溜めることで購入できるため、戦力の強化と同時に行われているらしい。


その設備で最も注目されているのが工房。狙いは優秀なドワーフ族プレイヤーの専属化と思われる。




そんな中、俺はひたすら調合を続ける日々。


「まあ、俺はギルドに加入する気ないからな」


最初の頃こそ多くの申請があったが、その全てを断り続けた結果、今となっては誰からも申請が来なくなった。

それでも、ボムやポーション、ついでにアイス系を求める客が後を絶たないので調合を繰り返している。


そして第二弾への対策もすでに行っておいた。


それは【錬金術】関連情報の開示だ。

攻略掲示板に『【錬金術】をLv10まで上げると〝初級錬金術教本″が手に入り、ランクを【中級錬金術】に上げ、これもLv10になると〝中級錬金術教本″が手に入る。〝中級錬金術教本″にはルーチェで販売している攻撃アイテムのレシピが乗っている』と書き込みを入れたのだ。


この情報は本物で、実際俺も入手している。そのため、アトリエの棚には〝初級錬金術教本″と〝中級錬金術教本″が二冊ずつ並んでいる。


この書き込みによって新規参加者に【錬金術】を取らせようという動きが出ており、それが始まれば俺も楽できると思っている。


ちなみに、〝上級錬金術教本″はまだ持ってない。同じアイテムばかり作っているためか【上級錬金術】のレベルがなかなか上がらないのだ。ちなみに今Lv7。


「そろそろ素材が尽きそうだな」


新たなフレイムボムを調合したところで火薬草の残りがわずかとなっていた。

魔力石は他の攻撃アイテムにも使うので常に補充しているが、火薬草は樹海の少し奥にいかないと生えていないのだ。

さらにフレイムボム一個調合するのに魔力石は一個だが火薬草は3枚必要だ。そのため、どうしても火薬草が先に足らなくなる。


「一度採取に行くか」


そう考えて、せっかくならばもう少し奥に行って麻痺草も採取してみようと思いつく。


アイテムウィンドウに〝聖樹の樹籠″があることを確認し、アトリエから出発しようとしたところでメールが届いた。


「差出人は……シュリちゃん?」


メールを表示してみると『今暇なのでお話しませんか?』の文字。前に俺がティニアさんに送った内容に似ていたので少し笑った後『了解、今から向う』と送り、採取を止めドワーフ族エリアに転移する。




「私も行ってみたいです!」


シュリちゃんと話していると俺が火薬草や麻痺草を採取しようとしていた話になり、それにシュリちゃんも興味を示した。


「行くのは構わないけど、シュリちゃん戦闘できるの?」


見た目子ども(中身は高校生だが)のシュリちゃんが戦闘するイメージがわかないので聞くと自信満々に答えた。


「大丈夫です! 【槌】スキルならありますから!」


そう言って鍛治にも使っているハンマーを肩に担ぐ。

それなら問題ないかと思い、念のため他のスキルも聞いておく。本来習得しているスキルを他人に話すことはしないが、これから一緒にフィールドに出るのだ。こういう時は問題ないだろうと思ったのだが、シュリちゃんは困惑した顔になった。


「ごめん、やっぱり話したくないよね」


当然の反応だと思ったが勢いよく首を横に振るシュリちゃん。違うってどういう意味だ?


「あの、実は……」


ぼそぼそとシュリちゃんが言ってくれた言葉に俺はしばらく時が止まったような気がした。


「…………ごめん、もう一回言ってくれる?」


自分の聞き間違いだと、そう思いながら再びシュリちゃんの言葉を待つ。


「ですから【鍛治】と【槌】、【研磨】以外のスキル持ってません……」




突然の事態に呆然としながら俺はシュリちゃんと懐かしいスキル屋に向かった。

さすがに戦闘に使えるスキルが【槌】だけでは心もとないと思ったからだ。


「なんか、すいません」

「いいよ、気にしないで」


スキル屋に到着し、スキルを選んでいく。


(とりあえず【早足】と【盾】は取ってもらうか。これなら俺でも教えられるし)


本当ならラインやエルジュにお願いしたのだが二人ともギルド強化で忙しい中で頼むわけにはいかない。なので、俺でも教えられる(普段使っているという意味で)二つのスキルを習得してもらった。


回復についても考えたが、今回は俺の錬金ポーションに頼ることにした。


「他に何か希望はある?」


そう訊くもシュリちゃん自身も始めてのVRMMOなのでどれを選択していいか分からないため、とりあえず二つだけ取って終わりにした。

下手にここでスキルを埋めてしまっては勿体無いからな。


そして、それぞれがメイン枠に入っていることを確認し、俺たちは樹海へと向かった。




「「〔スイング〕!」」


俺とシュリちゃんの攻撃が同時に当たる。どうやら【槌】の最初のアクトは【杖】と同じく〔スイング〕だったので、レクチャーすることにした。

鉱山ではめったにモンスターが出てこないし、ファンのプレイヤーが素材を提供してくれていたため、実はシュリちゃんこれが初めての戦闘だった。


当然ハンマーのほうが重いので与えるダメージ量はシュリちゃんのほうが多い。


「〔スイング〕!」


再びシュリちゃんの攻撃があたり、木をモチーフにしたと思われるモンスター“プラント”(見た目=歩く木)のHPが0になり消える。


「よし、今のうちに採取しちゃおうか」

「はい!」


ハンマーを一旦ウィンドウに戻すシュリちゃん。

たいてい武器は戦闘以外では背中に掲げたり腰に吊るしたりするが、シュリちゃんが使うハンマーは本人の背丈以上の長さがあり、腰に吊るすにしても重いのでどちらもできないらしい。


ここはまだ樹海の入り口に近いので麻痺草はないが火薬草はある。火力を高める火薬草は鍛治にも使われることはオウルから聞いていたからシュリちゃんにも教えてあげたのだ。


「わかってると思うけど、採り過ぎないようにね」

「はい!」


ニコニコ元気に答えるシュリちゃん。

正直ラインがいなくて正解だったかもしれないと思うほどの笑顔だった。




「さて、もう少し奥までいこうか」

「わかりました!」


ある程度火薬草が集まったところで奥に向かう。当然目的は麻痺草だ。


しかし、その目的は中断させられてしまう。


「あれ?」


なんと先に行けなくなっていたのだ。


「どうしたんですか?」

「なんか、この先に行けないんだ」


触ってみると見えない壁があり、そこから先に進めなくなっていた。

何で? と疑問に思ったその時、後ろから声が聞こえてきた。


「あなたたち、何してるの?」


振り返るとそこにいたのは一人の女性。耳が長いからエルフ族だと思ったが、形が違っていた。よく見ると狐の耳だった。


「獣人族の方ですか?」

「ええそうよ」


その女性はファイと名乗り、こっちも名乗った。


「ああ、あのPVの……」


どうやら彼女もPVを見たことがあるようなので警戒を強めた。

PKシステムはないがフィールドでは何が起こるかわからないからな。もしかしたら俺のアイテムを狙ってくるかもしれない。実際前に有ったし。


「ところで、その先は行けないわよ。まだアップデートが済んでないから」

「「アップデート?」」

「……あなたたち、あまり掲示板は見ない派?」


シュリちゃんと頷く。ファイさんはその後詳しく教えてくれた。


なんでも第二弾の開始に合わせて各種族のフィールドも拡大することになり、現在フィールドの奥には行けない様になっているとのこと。


「これに懲りたらしっかり情報は確認しておきなさい。“知も力と成る”のだから」


そう言ってファイさんは来た道を戻っていった。


「俺たちも帰ろうか」

「残念ですがそうしましょうか」


その後、アップデートが済んだらまた来ようと約束してスプライトへと足を進めた。

活動報告を更新したので、よければ見てください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 文の中の 設備はコルを溜める と言う部分なんですけど、この小説のお金の単位はセルだったと思うのですが間違っていたらごめんなさい
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