第五十五話:現れた存在
おや? 【誤字乱発】の様子が・・・・・・
おめでとう! 【誤字乱発】はカーススキルにランクアップした!
誰か助けて~。
*8月19日誤字修正:①そのための来ていただいた⇒そのために ②アリアを石化させた⇒アリサ*
一旦アトリエに戻り、再び戻ると部屋の中は一切被害にあった様子はないのに、黒焦げになった物体が二つ部屋の隅に置かれていた。
そして何事も無かったかのように優雅に座るアリアさん。
俺は空になった〝生命の甘露″を交換し(この時空の瓶を渡してくれたアリアさんが満面の笑みだったので内心怖かった)、黒焦げの二人に錬金ポーションを飲ませた。
体力が回復したのか焦げた跡が無くなったが、意識はしばらく戻ってこなかった。
ようやく意識を取り戻した二人と共に、表面上は穏やかな雰囲気が再び流れ出す。
実際はすっきりしたようなニコニコ笑顔のアリアさんとガクガク震えるティニアさん+アリサさん、そしてどうすればいいのか分からず〝生命の甘露″を飲み続ける俺。
遅い時間になり、遊女の一人がアリアさんとアリサさん用の部屋を用意するか聞いてきた。
当然ながら俺は泊まることはできない。まあ、アトリエにはすぐに転移できるから問題ない。
「ところで、今日は何の集まりだったんですか?」
普通に考えれば昔遊んだ姉妹が集まっただけに見えるが、だれもが正装、特にティニアさんに至っては仕事着なのは単なるお茶会とは思えない。
本来ならこのまま何も聞かず帰った方がいいのかもしれないが、なぜか“聞かないと後悔する”とそんな気がしたのだ。
「そうですね。 そのために来ていただいたのですから」
どうやら俺の予想は当たっていたようで、ティニアさんが姿勢を正し、俺たちも同じく背筋を伸ばす。
……またしても厄介ごとに巻き込まれたとほんの少しばかり後悔した。さらば平穏な日々……そんな日あったかな?
「先程の話、アルケさんにお伝えできる?」
「もちろん、むしろこちらからお願いしたいから」
どうやら話はアリサさんが主体のようだ。考え事を止め、アリサさんに視線を向けるのとアリサさんの口が開くのは同時だった。
「どうやら、魔族が本格的に動き出してるみたいなの」
魔族。
その存在はCWOプレイヤーなら誰もが知っている名前だ。なぜなら、CWO本来の目的は各種族が共闘して共通エリアを攻略し、その先にある魔族のエリアに進み、魔王を倒すことだからだ。
今まで出てきたモンスターはすべて魔族のしもべである魔物なのだ。魔族は人型ということ以外は決まった形をしていないが、ハイフェアリーからすれば感じられる魔力の質ですぐに分かったらしい。一般の妖精族でも違和感を感じるそうだ。
アリサさんの話を聞くと、魔族の目撃情報はかなり前からあったようだ。
「初めに目撃されたのは客人の存在を神が宣告された時から少し経ったくらいからかな」
初めて見かけたハイフェアリーの男性は単に姿を見ただけだったため気のせいかと思われたそうだが、それからしばらくして「魔族を見た」と言う者が増えていった。
「そこで、『魔力光』持ちが探索に出たの」
「それって」
似たような話を俺は過去に聞いている。いや、過去なんてほど昔じゃない。
「そうなんです」
声はアリサさんからではなく、隣のアリアさんから聞こえてきた。
「私はアルケさんに嘘をついていました。アリサを石化させた存在はメイジオークではなく、魔族です」
「しかも、石化した後に【魔法抵抗:大】のおまけ付きでね」
そこから先はアリアさんから聞いた話と同じで、俺が【錬金術】で〝キュアポーション(灰色)″を調合し、アリサさんを含めたハイフェアリーの皆さんは助かった。キュアポーションはアイテム扱いなので【魔法抵抗】の効果の範囲外なのだ。
なるほど、道理で一体もオークを見なかったわけだ。
実は以前から疑問に思っていたのだ。
エリートゴブリンやゴブリンキングなど多くのゴブリンがいたにもかかわらずオークの目撃例は今まで一回も聞いていない。
これはミシェル以外のフェアリーガード隊員たちにも訊いていたので、彼らが秘密にしていない限りはあの場所にオークは一体もいないということになる。
ハイフェアリーの里の場所は知らないのでもしかしたらそこにしか出現しないのかと思ったが、それでも対オーク用の対策を全くしないのは不思議に思っていたのだ。
その理由は、初めからオークなんて存在せず、その正体は魔族だったというわけだ。
「私たちが【石化】されてからは魔族を見た者はいないわ。 もしかしたら姿を見られたことでもう来ないのかもしれないけど、これだけで終わるとはとても思えない」
アリサさんの言葉に俺たち全員が同意する。
「そこで、二人に依頼をしに来たのよ。 アリア姉さんには薬、ティニアには情報をね」
「情報?」
「そう。 魔族がハイフェアリーの里周辺だけに来てるとは限らないでしょう?」
確かにその通りだ。これはラインたちにも訊いてみた方がいいかもしれないな。
「そういうことなら俺も協力しよう。他の種族の知り合いもいるからそいつらにも聞いてみるよ」
「それはありがたいわ。こちらで目撃された魔族は少なくても三人。同じ見た目の魔族が何回か目撃されているからね」
「それならば後で外見を教えてくれますか?」
「いいわよ」
そういうわけで俺はアリサさんをフレンドリストに登録した。
「それと、アルケさんには別のことをお願いしたいの」
「別のこと?」
「これよ」
アリサさんが手に取りだしたのはフレイムボム。何でアリサさんがそれを持ってる?
「警備隊から譲ってもらったの。その存在は私たちにも使えるものだからね」
「……使える?」
「ええ♪」
なんでだろう、冷や汗が止まらないのですが。
「とりあえずコレをいくつか欲しいのよ」
アリサさん曰く、フレイムボムを元に新しい魔法を開発するのだと言う。そんなことが可能かと思ったがそこは魔法に長けた妖精族。何とかしてみせるらしい。
「わかりました。 ではこれも差し上げますよ」
俺はアイテムポーチからイグナボムを取り出し、アリサさんに手渡す。イグナボムの方は知らなかったようなので、ついでに全員に説明する。
「それは助かるわ。 いい魔法ができそうよ」
後日ティニアさん経由でアリサさんが報酬をくれることになった。
魔族か。また面倒なことになりそうだ。
〝魔法を開発する″と書きましたが、NPC側の見解です。彼らにはLvという概念が無いので『新しい魔法を覚える=開発する』ということになります。




