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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第一章:ダイブイン
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第五十四話:仲の良い三姉妹

やっと登場、アリサさん。そして作者のパッシブスキルが発覚!その名も【誤字乱発】!イエーイ!(涙)

*8月19日誤字修正:①一杯〝生命の甘露″を⇒一口〝生命の甘露″を ②ティニアさんを襲った⇒アリサさんを ③断絶魔の叫びが⇒断末魔*

*『YESロリータ! ANDタッチ』はネタです。犯罪に走らないように*

ハイフェアリー。

アリアさんから聞いた話だと、その特徴は魔力が普通の妖精族よりも高いだけで妖精族であることは変わらないはずだった。


しかし、目の前のアリサさんは見た目からして普通の妖精族と異なる。それは髪だ。


アリサさんの髪には小さい光の球が無数にまとわりついているという明らかな違いがある。


そのことを訊いてみると、アリサさんが説明してくれた。


「これは『魔力光』と言って、魔力が溢れている証なのよ。だからといって何か害があるわけではないわ」

「魔力が溢れている、ですか」

「ええ。ハイフェアリーの中でもさらに魔力が高い者は魔力が体の中に収まらないのよ。だからこうやって放出しているの。ちなみに、放出した魔力は天然のバリヤーにもなるのよ。まあこの状態になってるハイフェアリーは全体の一割程度だけどね」


ちなみに、ハイフェアリーは全員合わせて200人程度らしいので『魔力光』は多くて20人前後という計算だ。事実上『魔力光』持ち=エリートということなんだろう。

そんな人が石化されたってすごい状況だったんだな。


そのことについても訊いてみるとアリサさんも苦い顔になった。


「あれはホント参ったわ。石化しても意識は残ってるからもうしんどくて」


【石化】は文字通り石になってしまうがHPが0にならない限り、ずっと意識は残っている。しかし全く動けないので何もできないし、解除するまではログアウトもできない。

さらに【石化】には時間経過によるオートヒーリングが存在しないので、誰かが治すか、HPが0になるかしないと一生そのままなのだ。


これがプレイヤーならHPを0にしてわざと死なせる手段がとれるが、アリサさんはNPCだ。NPCにとっての死はまさしく消滅を意味してしまう。


「だから本当に感謝してるわ。ありがとう」


再び頭を下げるアリサさん。そこまで言われるとこちらも照れてしまう。


「む~」


そんな俺を見てなぜか頬を膨らませ、睨んでくるアリアさん。……俺何かしたか?


「あらあら」

「へぇ~」


そんなアリアさんを見てそれぞれの反応をするティニアさんとアリサさん。その笑みどこかで見たことあるような気がするぞ。


「何よ二人してその目は?」

「「いえいえ、なんでもありませんよ姉様」」

「二人して私をそう呼ぶ時は絶対くだらないことを考えてるのよね」


はぁ~とため息をつくアリアさん。


訊くと幼いころのティニアさんとアリサさんは今と違い大変わんぱくだったらしい。

しかも必ずと言っていいほど行った先で怪我をして帰ってくるので、幼いアリアさんは二人の治療が日課となっていた。

それが実践訓練として成長につながったのは薬剤師としては喜ばしいことではあるが、アリアさん個人としてはこれでいいのかといつも悩んでいたとのこと。


その後、アリサさんがハイフェアリーとなるとしばらく疎遠となり、さらにティニアさんが『水仙』に就いたため、三人の交流は続くも前のように会えなくなったそうだ。


それでも今回のように時間が合うと会っているので今でも仲が良い姉妹(一人違うが)として彼女たちを知っている人たちは認識している、と実は以前ミシェルから聞いていた。


「そういえば、ティニアさんはどうして遊女になったんですか?」

「私が遊女になったのは親の指導なんですよ。子供の頃の私はあまりにも女らしくなかったので、すこしでも女らしさを覚えてもらおうと私を遊女にしたのです」

「遊女ってそんな子供でも慣れるものなのですか?」


俺の頭の中でたくさんの見目麗しい女の子が男性に群れている光景が浮かぶ。なぜか『YESロリータ! ANDタッチ』なんてスローガンがどこかから聞こえてくる。


「……勘違いされていますからきちんと説明しましょう」


心なしか怒っている口調になるティニアさん。そういえば【読心術】が使えるんでしたね。


「あはは」


苦笑しながら〝生命の甘露″を頂く。


俺が落ち着いたのを見て、ティニアさんが口を開く。


「このスプライトでは女性としての心構えを磨くために、あえて遊郭街の学校に子供を通わせる親は多いのですよ」


そのため妖精族はおしとやかな性格の持ち主が多いらしい。まさかそんな理由があったとはな。遊郭街へのイメージが少し変わりそうだ。


一口〝生命の甘露″を口に含むティニアさん。


「私の場合はその時お世話になった先生に憧れてこの世界に入りました。その先生は先々代の『水仙』の花魁でした。先生を目指して女を磨き、今の私があるのです」


話すティニアさんの目には尊敬の色があった。よほど立派な先生だったのだろう。











――とここまでならとても心和む思い出話で済んだはずだった。


「ちなみに、ティニアはまだ男との経験はないよ」


アリアさんのその一言はまさにフレイムボム級、いや現実に存在するパイナップル爆弾並みの破壊力となってアリサさんを襲った。


「アリサ!」

「怒っちゃやだよ~」


一瞬で顔を真っ赤にしたティニアさんと逃げるアリサさん。


うるさいことこの上なく、先ほどまでの優雅な雰囲気は一気に崩壊した。


「いいんですか?」

「いつものことです。 いざとなれば黙らせます」


全く動じないアリアさんだったが、その脇にはどこかで見たことのあるフライパン。その底にはわずかなへこみがあったから、間違いなく俺を襲った凶器だろう。


(まさか装備しているのか!?)


俺も〝錬金術師の杖″を装備しているが、装備品は使う時までその姿を隠すことができる。そのため、街中で何の武装もしていない人でも一歩フィールドに出るといつのまにかその手に剣が握られているなんてことがよくある。

さすがに防具類はそんなことできないが。


ちなみに、主な理由は『プレイヤーが所持している武具やスキルを他者に秘匿するため』だ。

【窃盗】なんてスキルはないが幸運にも良い武器を手に入れたプレイヤーがイジメの標的になるのを防止するための処置らしい。


(そっか、今のアリアさんはOHANASI中のアーシェと同じなのか……)


そんなことを考えながら、再び二人に視線を戻す。追いかけるだけだった争いは次第に互いが魔法球を飛び交わせるようになる。まあ、威力はそこまでないが。

このままでは大惨事に発展しかねないが、『水仙』は魔法を遮断する素材で建てられているので部屋自体が崩壊することなく、外に被害が出ることはない。


だからと言ってその中が安全なわけがなく、俺は魔法球を避け、時々〝錬金ポーション″で回復して何とか耐える。


部屋から出ればいいのだが、おそらく怒っているアリアさんが怖くて動けないのだ。実際、アリアさんはあの時と同じ笑顔だし。


そしてティニアさんが放ち、アリサさんがよけた水の魔法球がとうとうアリアさんに当たった。当たってしまった。


「「あ」」


その瞬間、文字通りシーンと静まり返る室内。


途端に動きを止め、だらだら汗を流すティニアさん。アリサさんに至ってはまたしても石化してしまったように体が一切動いていない。


アリアさんはゆっくり立ち上がる。その手、正しくは右手にフライパンを持ち、左手に何かの草を握っている。


(いやあの色は確か〝麻痺草″だったか?)


「【調和】」


俺がその草の正体について考え込んでいると、アリアさんの口から言葉が放たれ、握られた草が光の粒子になり、フライパンに吸い取られていく。

そしてフライパンが次第に放電し始め、アリアさん自身も同じく放電し始める。


「アルケさん?」

「ハイ!」


バチバチと稲妻を纏うアリアさんの言葉に一瞬の間も置かず返答する。前にもあったが、怒っている状態のアリアさんに逆らったら死へ一直線だ! ということを再度理解する。


「しばらく外に出ててもらえますか?」

「イエス、マム!」


返答が終わると同時に襖を開けすぐさま離脱する。


「ちょ……」

「たす……」


二人の声が聞こえてきたが、振り返ることもなくその場から走り出す。


200m以上は離れ、安堵の息をついてると後方から断末魔の叫びが聞こえてくる。


俺は二人の無事を祈り、〝生命の甘露″のお代わりを取りに行こうと遊女の方を探しに行った。




……ついでにアトリエに戻って錬金ポーションも取りに行こう。

スキル説明

【調和】:特定の草や実の力を武器や鉱石に与えることができる。

習得条件:【上級薬剤】のスキルがあれば習得できますが、対象の草を100回以上使ったことがあることも条件です(熟練度みたいな感じです)

*文中でフライパンだけでなく、アリアさん自身もその恩恵を受けているのは、単に多くの麻痺草を使って両方に【調和】を発動させただけで、アリアさんがすごいわけではありません。

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