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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第一章:ダイブイン
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第四十九話:世の中そんなに甘くない

感想やコメントはいつも確認していますが、返事が送れずに申し訳ありません。また、感想を見て「アルケの外見が女性」だった設定を思い出し、第三十八・五話の内容を書き換えました。指摘していただいた方々、ありがとうございました。

翌日、追試のため教室に残る努の怨念を振り払い、家に帰って昨日メモしたメモ帳を開き、内容を確認してから俺はCWOへログインした。


アトリエで目を覚ました俺はさっそく実験を始める。


まず〝調合水″の時に使った桶に水を溜め、以前アリアさんから報酬としていただいたカップで水をくみ、実験前に買ってきた鍋に入れる。井戸からくみ上げた水はカップに収まりきらず、戻すのも捨てるのももったいないので、一度桶に入れることにしたのだ。後で〝調合水″にすればいいだけだし。


作業机に置かれていたランプを使ってカップの水を入れた鍋を温める。時間がかかるが他に方法が無いので(錬金釜は移動不可能アイテム)じっくり待ち続ける。


「さて、うまくいくかな?」


俺が行うのは野菜を調理するときに用いる『湯搔き』だ。

実は妖精族が好み、俺も食べたことがある〝香草のパン″には〝薬草″も使われている。ならば湯搔くことでアクを抜いて苦みや渋みを無くせば多分食べられる。そして食べられるということは、〝薬草″も食料として活用できるのではと考えたのだ。


この時、〝薬草″の使用手段は食べることであること、そしてその手段はプレイヤーから嫌われていることを俺は完全に失念していた。


鍋自体がそんなに大きくないため、少し経てばお湯が沸騰してきたので薬草をさっとくぐらせ、【識別】でその結果を確認する。



〝茹でた薬草″・回復/食糧アイテム・C

薬草を湯搔いたもの。

HP+10・空腹回復度+5%



「よし!」


思わずガッツポーズをする。これで【空腹】になることは防げる、と俺は〝茹でた薬草″を口に入れた。




「やっぱりなんとかするしかないか」


結論から言って、苦みは多少抑えられたものの、やはり食べられなかった。ちなみに、調べてみるとそのまま食べても同じ空腹回復度だった。


「これは最終手段だな」


結局【空腹】対策にはならなかった。気を取り直して、本来の調合に戻ろう。


今日は〝教本″最後の品、その名は……まだ調合してないからわからない。


「では、調合開始!」


用意したのは『〝錬金ポーション″×3+〝薬草(品質UC以上)″×5+〝調合粉末″×1』だ。

まず〝錬金ポーション″3個を窯に入れかき混ぜる。窯の〝調合水″と混ざり、色が変わったところで〝薬草″を入れる。なお、これまでの経験から一枚はちぎって入れた。薬草が大体溶け込んできた頃合いで〝調合粉末″を加える。

混ぜること数分、完成したのがこちら。



〝ミドルポーション″・回復アイテム・UC

ポーションよりも回復力の高いポーション。

HP+160

効力:D



「よっしゃー!」


一回で成功したのがうれしく、さらにこれで初級錬金術教本のアイテムはコンプリートしたので二重でうれしく、思わず大声を出しガッツポーズをする。


「この調子でもっと生産してやる!」


俺は再び〝ミドルポーション″の調合に取り掛かった。




「なぜだ……」


あれから五回同じ調合をするも全て失敗。ストックしておいた〝品質UCの薬草″は使い切ってしまった。


「もしかして、ビギナーズラックで偶然作れただけでLvが足らないのか?」


とっさに思い付いたことだが、そんなものを〝初級錬金術教本″に載せるだろうか?

検証のために〝ポーション石″の調合を試してみる。


結果、3回中1回失敗した。


「まだまだ修行が足らないってことですか」


しかし、一応は教本のアイテム製作には成功した。となれば別の物にも挑戦したい。

そう思った俺はスプライト中央部に向かった。




「やっぱり無いですか」

「ごめんなさいね」


アリアさんからの返答はNO。正直予想はしていたがやはり無かった。

アップデートしたから商品数も増えているのではという希望に賭けたのだが、やはりそううまくは行かない。

ちなみに、ここを訪れる前にあの老人の店にも寄ったが本日は休業日だった。


「どうするか」


以前の経験からここ以外の店舗にはないのはわかっている。そのためここしか当てがなかったのだがそれも外れに終わり、この先どうするか迷いながらドアを開けようとするとドアが自動的に開いた。


「お、アルケじゃないか」

「ミシェルか」


店の扉を開けて店内に入ってきたのはミシェル。どうやら薬を買いに来たようだ。

ってミシェルを見て思い出した!


「ミシェル!」

「な、なんだ?」


いきなり迫る俺に驚いたミシェルだが今はどうでもいい!


「お前のところの総合隊長に会いたい! いつ会える!?」

「と、とにかく落ち着け!」

「いいから早く教えろ!」


おそらく人生初となる勢いでミシェルに詰め寄る俺。ここで逃せばチャンスが無いと思ったのだ。


「さっさとおしえっ!」


しかしミシェルを問いただしていた俺の後頭部に鈍器で殴られた衝撃が走り、俺は意識を失った。

(新)が認識されてきたので、明日の更新後日付が変わったら「旧VRMMOの錬金術師」を削除し、タイトルから(新)を取り除きます。

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