第三十一話:妖精族の飛行(飛行編)+鳥人族エリア
皆様お久しぶりです。こうやって前書きを書いてると本当に懐かしく感じます。
なろうよ! 私は帰ってきたー!
とりあえず地上に戻ってきた俺とアリサさん。地上ではティニアさんが拍手しながら出迎えてくれて、アリアさんも拍手してくれているが困惑顔だ。
「すごいじゃないですか! 聞いていた話と全然違うから驚きましたけど!」
「ええ、まあ。コツを教えてくれた人がいましたから」
そう答えるもそのコツを教えることはできない。CWOには無い概念だろうからな。
心ちゃん直伝の秘策。それは有名な宇宙機動戦士をイメージすることだ。俺のような普段アニメを見ない人間でも知っているソレは背中のブースターで空中を、もしくは宇宙を移動することくらいは知っている。それをイメージすることで格段に上手くなるという話だったが、正直あまりにも上手くいったので俺も驚いている。
その後、何度か同じように上昇したり下降したりを繰り返し、さらに横移動や方向転換、さらには宙返りなど様々な飛行を教わり、実践してみて、失敗を繰り返し、まもなくダイブアウトという時間でなんとか合格をもらった。
あとはこれをさらに上達すればもっと速くなるし、スムーズに方向転換とかも可能となる。
でも、妖精族の飛行を習得したのは鳥人族エリアに生えている草が必要なだけだからもう使うことはないと思うけど。
「それで、これからどうしますか?」
「……え? どうしますかって何を?」
「応用というか、妖精族ならではの飛行もあるのですが、覚えますか?」
訂正。どうやらまだまだ飛行の訓練は続くようです。
翌日、何時ものようにダイブインすると昨日同様待ってくれていた三人。
今回は場所を移すらしく「付いてきて」と言われて移動した先には同じように棒が立ち並ぶ場所。同じように横棒も付いているけど、何か違うように感じる。
「あの横棒はただの棒。つまり、落ちても助けてくれません」
「なんでいきなりそんな口調に?」
「ここからはケガする可能性が高いから気を引き締めてもらおうと思いまして」
そう話すアリアさんが示す先には子供の妖精族。何をしているのか観察してみれば横棒に当たらないように飛行している。
それだけなら鳥人族の飛行と変わらないがよく見れば羽根から粒子のようなものを放出している。
「あの粒子こそ、妖精族ならでは飛行の正体です」
「正体って、魔力じゃないんですか?」
その光は今もアリサさんが纏っているように見える魔力光と同じようにしか見えないのだが。でも、魔力で飛ぶのなら今までと同じだと気付く。
「残念ながら魔力でも飛行とは別の魔力です」
「つまり、飛行用の魔力ともう一つ何かの魔力が必要だと?」
「そうそう。それが、精霊の魔力よ」
アリサさんが告げると右手に魔力でできた光の玉を見せる。さらに左手でも同じように光の玉を作るが、色が異なる。
「前に説明したけど、魔力の色って得意な属性の色になるの。でも、精霊の力を借りればこんな感じで別の属性の魔法も使えるの」
「補足としてアリサは雷属性が得意なので右手の黄色が本来の魔力。左手の緑色は風精霊の魔力の色です」
ティニアさん解説ありがとうございます。でも、それって無理じゃない? 俺精霊とか全くわからないよ??
そんなことを考えていると右手から光が現れる。その色は青。
ああ、そういえば上級精霊とかいう存在でしたね、あなた。
「気がついてもらったみたいですが、スフィレーン様と仮とはいえ契約を交わしているアルケさんなら、たぶんできると思うんです」
アリアさんが俺の考えと全く同じことを言う。でも、普段はパルセードなんだけど、大丈夫なんだろうか?
そして何度か試してみるが普段の飛行が精一杯。アリアさんやアリサさん、ティニアさんまでもが隣で飛行しながらいろいろ教えてくれるが、やはり羽根から魔力は現れず。
「やはり無理でしょうか」
「飛行魔法を覚えるだけなら何人かの客人の方々がすでに成功されているようですが、精霊の魔力をお借りすることに成功した人はいないと聞いてますし」
「だからアルケさんならもしかしたらって思ったけど、やっぱり客人の方々は精霊飛行無理なのかな?」
それって精霊飛行っていうんだななんてことを考えながらも訓練を続けたが、やはり無理。試しにスフィレーンに呼びかけてみても反応無し。前なら声が聞こえたんだけど、そう簡単には魔力が溜まらないのかな。
結局精霊飛行の習得はできずに、俺の飛行訓練は幕を閉じた。
翌日、いつものように中庭で昼食を食べながら心ちゃんに例の案内をお願いする。
「いいですよ」
「ごめんね、急に」
「いえ。前に頼まれたときからいつでも対応できるようなるべく用事が入らないようにしておきましたから」
うわ、そこまでしてもらっていたのか。これは何かお礼を考えておかないと。
「なら、私も付き合う!」
「私もいいですか?」
栞ちゃんと世羅ちゃんも同行を申し出たので迷うことなく頷く。一方それを見て空は何やら思案顔だ。
「どうかしたのか?」
「面白そうだから付いていきたいんだけど……」
「いやいや、空ちゃんは会議を優先してよ」
何!? 努から会議なんて言葉が出るだと!? もしや偽物か?
「何を考えているのかは言わなくてもわかるから指摘しない。会議っていうのは攻略会議のことだ」
「あ、そうなのか」
よかった。世界は槍の雨から救われた。
「それで、攻略会議とは?」
「……ツッコむだけ無駄か。どうやら王城から逃げてきた他の兵士たちが近隣の村々にいて、それを第三王女様が集めているらしい。それで、まもなく何らかの行動を起こすと思われるからそれについてどう対応するか事前に決めておこうって話だ」
それはつまり「ここに集いし兵士たちよ!」みたいな感じで宣誓でもするのかな。それにしては集めているのがあの王女様なのか。国王様助からなかったのかな?
「でもすごいよね第三王女様。国王様がいるのに自分から志願するなんて」
「他の王族はみんな死んでるみたいだからな。もしかしたら国王が命じたのかもよ。次期国王としての責務とか言って」
どうやら健在みたいで一安心。まあ、俺には関係のない話か。
放課後CWOにインする。セリムさんに「今日は出かけてきます」と伝え、さっそく鳥人族エリアに向かう。
そういえば鳥人族エリアって何気に始めて行くんだよな。一体どんなところなのだろうか。
……なんて裕著に考えていた時期が私にもありました。
「雲の上はさすがに予想外だぞ」
「まあ、飛べるのが当たり前の種族ですから」
「そうそう! 初めのころはよく落ちて死んでたよねー」
「それ言わないで! うぅ、思い出してきたよ……」
鳥人族エリアに転移して目に入ってきたのは一面の雲。思わず「落ちる!?」と思ってすぐさまジャンプした自分が恥ずかしい。さらに周りも懐かしい感じの視線で見てくるので余計に心に突き刺さった。
そんな俺を見てすぐさま近づいてきてくれた三人に感謝し、例の草が生えてる場所まで移動することになったのだが、その先の光景を見て「はぁ!?」と叫んでしまった。
前に空から「鳥人族エリアの最初のフィールドは嵐の空だよ」なんて聞いてたが、まさしくその通り。
そんな嵐の中を俺たちは今進んでいる。少しでも間違ったほうに進めば嵐に巻き込まれてそのままジ・エンドだ。
「よく序盤からこんなフィールド作ったな」
「おかげで飛行はすぐに覚えましたけどね」
「NPCに聞いたら『この程度はかわいいモノ』らしいよ」
「ここに人たち、普段からも浮いてるよね」
そう、驚いた点は雲の上に街があるだけでなく、ここにいるNPCは絶えず羽根を羽ばたかせている。疲れないのかと思ったが、もはや止めることができないくらい日頃のことになっているとか。さすがに座るときや寝るときなどは止まるようだが。
そのせいか鳥人族NPCの羽根はみんな大きい。小さくても1mくらいはあるだろう。そして羽根の大きさは身長と関わりがある用で大人NPCは誰もが高い。子供でもすぐに1mくらいに成長するらしい。
そんな種族の違いを聞きながらも俺たちは嵐の中を進んでいく。
次の話は可能なら水曜日22時に投稿したいですが、ちょっと厳しいかな。でも、がんばります。
では、また。




