第二十八話:扱い注意!
こんばんは。昨日は急な事態になってしまい、申し訳ありませんでした。
本日なんとかキーボードが直りましたので、投稿できました。サポートセンター感謝です。
では、本編どうぞ!
思いつく素材が無いのでとりあえず〝スノープリズム″と〝パニヤードのきのこ″を混ぜてみることにする。よくよく考えればこれが成功しないと元の子もない。
「……」
調合の結果完成したのだが、今まで一番ヤバい物が完成してしまった。
〝フローズブリザ″・攻撃アイテム・R
相手に投げつけ着地した地点から半径10mの円内部に吹雪を発生させる。その吹雪によって相手を凍らせることができる。
10秒ごとにHP-80。効果時間は最大30秒⇒発生地点によって変動する。
【冷凍付与・中】:40%の確率で相手を凍らせる
文字だけ見れば〝スノープリズム″に【冷凍付与・中】が付いただけだが、確かゲームによっては『凍る=行動不能』って意味があるって聞いたことがある。この場合の行動不能とは『死』ではなく『全く動けなくなること』を意味しており、文字通りソロならほぼ間違いなく打つ手がなくなってしまう。
これはやばいかなと思ったら後方から「アルケさんって冷酷なんですね」という声が聞こえてきた。
「えっと、エイミさん? そこまで言いますか?」
それはひどいですというメッセージを視線に込めるとエイミさんは先ほど俺が作った〝ポイズブロージョン″と〝パララブロージョン″を指した。
「あれとそれを組み合わせれば相手を凍らせておきながら状態異常にさせることもできるじゃないですか」
「凍ってるから煙を吸えませんよ?」
「融ける前に周りに充満させておけば十分じゃないですか。凍って息ができないようにしておいて、解放された生命がまず行うことは空気の補充です。つまり、確実に煙を吸わせられるじゃないですか」
…………
ニヤリ
「よし、こんなものだろう」
失敗を重ね、苦労して完成した試作品に満足しているとエイミさんはまさに外道を見る目で俺を見つめている。
「どうしました? お望みの新たな攻撃アイテムですよ?」
「……先ほどの発言を撤回します。アルケさん、あなたには心が無いんですか?」
ハハハ、失礼ですね~。ちょっと自分の中の闇が蠢いただけじゃないですか♪
〝フリーズディスピア″・攻撃?アイテム・HR
残酷な意志によって作られた相手を殺すためのアイテム。
投げて着地するか相手にぶつかると半径5mの球状の吹雪を発生させる。吹雪そのものに攻撃力はないがその中に存在するモノをほぼ確実に凍らせることができ、さらにその氷には【毒】が仕込まれており、凍ったまま相手を毒殺する。
*使用は用法を正しく守って使いましょう!*
これはレシピを公開するわけにはいかないのであえてレシピは残さない。まあ、問題ないだろう。その証拠に【麻痺】バージョンも作れた。
〝フリーズヘル″・攻撃?アイテム・HR
残酷な意志によって作られた相手を殺すためのアイテムNo.2。
投げて着地するか相手にぶつかると半径10mの球状の吹雪を発生させる。吹雪そのものに攻撃力はないがその中に存在するモノをほぼ確実に凍らせることができ、さらにその氷には【麻痺】が仕込まれている。凍った身体はしばらくすると解凍されるが【麻痺】に犯されているため、凍ったら優しい死を迎えられることを祈ろう。
*使用は用法を正しく守って使いましょう!*
「というわけで、こっちの〝フリーズヘル″なら魔法部隊のおぜん立てができると思いますよ♪」
「確かに動かないに加え攻撃もしてこないなら大規模かつ高威力の魔法を安全に詠唱できますけど……」
そう言いながらも〝フリーズヘル″を受け取りながら「これなら……あとは威力だけど……」と呟いているから実験をお願いできそうだ。もう少し作っておこうかな?
そんなことを考えているとエイミさんが〝フリーズディスピア″を手に取って天井の灯りに照らしている。何かミスでもあったかな?
「どうかしましたか?」
「前に同じような物を作ったことがあるけど……これは記憶にない錬金アイテム」
「なっ!?」
今なんて言った!? セリムさんが見たことが無いアイテム!?!?
それってつまり……………………俺オ・リ・ジ・ナ・ルーーー!?!?!?!?!?
「うん。やっぱりちょっと違う」
「ぐ、ぐたいてきにあ?」
ちょっと口調がおかしくなるが今はそんなことどうでもいい! セリムさんの評価によっては明日の夕飯赤飯だ!
「私が知ってるのはもっと残酷に毒殺を行っていた」
「…………ふぁい?」
「それに毒も一種類だけ。だから見たこと無かったんだ」
ああ、なるほど。いろんな毒が入ったモノ。つまり、これよりもさらに強力な物を見てきただけで、劣化品は見てないってことですか。ソウデスカ。
「っふふふふふふふふ」
「この方法なら? いえ、やはり人が足らないから……」
「ご主人様。少しいいで……?」
「今あの二人に近づかないほうがいい」
「ナニヤッテンノ、アレ」
ああ、そうか。これが本当のディスピア、絶望の感覚か。しっかり覚えておこう……。
翌日。心に傷を負いながらもなんとか無事学校を過ごし、いつも通りCWOへダイブ。もはや日課になってるな。自分でもここまで熱中するとは思わなかったな。
「さて、本題に取り掛かろう」
昨日の調合では相手を凍らせるアイテムが作れた。しかし、俺が欲しいのは固まった氷を生み出すアイテムだ。やはり、なにかしらの新しい素材を見つけるしかない。
そう思い、足を運んだのはアリアさんの雑貨屋だ。薬草に詳しいアリアさんなら俺が知らない草も知っていると思ったのだ。
「そうですね……思いつく物はいくつかありますが」
あ、いくつもあるんですね。もっと早く訪れておけばよかったかな。
「ただ、どれも実用性が無かったのでどこに生息しているかまでは……」
「でしたら名前だけでも教えてもらえますか?」
するとアリアさんはメモ帳らしきものを取り出して書き始める。へぇ~、そんなものも販売してたんだ。ついでに買っていこう。
「…………多分こんな名前だったと思います。間違っていたらごめんなさい」
「その時はその時ですよ」
こうして情報をもらい、掲示板でさっそく調査。少し時間がかかったが、なんとか目当ての物は発見できた。
「場所は鳥人族エリアか。空たちは今エリア3のほうで忙しいだろうから手を借りるのは止めておく……あの三人なら大丈夫かな?」
フレンドリストを呼び出して三人かダイブインしているのを確認するも、リボン以外は灰色表記。そのため唯一インしていたリボンにリンクチャットを飛ばす。
≪こんにちは。どうしました?≫
≪ちょっと時間あるかな? 鳥人族エリアで採取したい素材があるので、できれば案内をお願いしたいんだ≫
≪鳥人族エリアですか? でもアルケさん、飛べないですよね?≫
≪あ≫
≪一応地面みたいなものはありますけど、飛べないと移動しづらいですよ≫
そうか、鳥人族は翼があるのが当たり前だけど、他の種族はそんなものないよ……まさか。
≪ごめん。一旦リンクチャット切るね≫
≪あ、はい。では≫
リンクチャットを切った俺はまたアリアさんの雑貨屋に向かう。
「いらっしゃ、アルケさん?」
「アリアさん。お願いがあります」
アリアさんに近づき、その両手を握る。
「ひゃう!?」
なんか変な声が出て顔が赤く染まり始めている。え、何かした俺?
「あ、アルケさん!? 急に手を握って一体何を!?」
「どうかしたの姉さんってアルケさん!? 何してるの!? もしかしてとうとうきゅう……」
何かを発しようとしたアリサさんの口はアリアさんの手によって言葉にならなかった。てかアリアさんいつの間に。しかもバチバチしてるし。
「あははは。それで、どういったご用件ですか!?」
「むふ~~~~」
アリサさんがアリアさんの手をどかそうとしているが全く動かない。これは早いとこ用件を言わないとアリサさんが窒息してしまいそうだ。
「先ほども言ったお願いなんですが、俺に妖精族の飛行を教えてもらえないでしょうか?」
とうとうアルケがダークサイドに足を踏み出しましたw やはりきれいなだけなんてつまらないですからね。刺激は大事です。
次回、アルケ大空に舞う!




