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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第十八話:いざ、本命の作戦へ

四月になって暖かくなったはずが、まだ朝晩は寒いですね。

エリア3の街フォレスワードに帰ってくるとすでにラインが転移泉の近くで待っていた。


「よう。悪いな」

「元々こっちが頼んだことだ。それで、行くメンバーはもう揃ってるのか?」


見たところラインとカナデちゃん、そしてアーシェしかいない。この三人が今回洞窟攻略戦に参加したブレイズメンバーで後のメンバーは街の防衛のために残っていたはずだ。


「他のメンバーは今招集かけた。警備の交代とか装備の確認とかいろいろあるからな」

「ほう~、ずいぶんリーダーっぽいじゃないか」

「いや! 俺ギルドマスターだから! 知ってるだろ!?」

「それで、実際のところは?」

「もうちょっと頼りにさせてほしいわね」


身内であるアーシェからのダメ出しによってラインはKOされた。ああ、安心していいよカナデちゃん。すぐに復活するから。






「さて、これで全員だ」


想像通り復活したラインが周りに集まった面々を背に両手を広げる。いや、お前がリーダーなんてだれが決めたんだ?

ちなみに集まったメンバーはブレイズの主力メンバー。これに関しては特に言うことはない。しいて言うなら以前行われたギルド対決のトーナメントに出場していたメンバーも含まれていることくらいだ。


他には空たちヴァルキリーのメンバーとアポロンさん率いるセラフィムのメンバー。鳥人族が多いヴァルキリーと女性プレイヤーしかいないセラフィムはどうやら洞窟攻略戦には参加できなかったようでこちらはやる気にあふれている。

なお、この二つのギルドは俺が事前に頼んでおいた。当然ラインも知っている。


そしてある意味この作戦を立てたティグルさんと予想通りアステルさんがいる。他の洞窟攻略メンバーはさすがに参加していない。ラインたちもこの作戦のために洞窟攻略戦では後方に下げられていたからな。


しかし、残る一団は全く面識がない。全員重装備かつタワーシールドのような物を全員装備している。『ような物』と付けたのは普通よりも短く、そして横幅が長いからだ。


その集団を見つめていると鎧に装飾をつけた人がこちらに歩み寄る。


「初めましてアルケさん。あ、名前はブレイズのギルドマスターから伺っております」

「はぁ」

「私たちはギルド『騎士団』。見ての通り騎士に憧れる者たちで構成しているギルドです」


騎士。確かに重装備に盾でそういう風にも見えるが、なんだろう? すごく違和感。


「まあ、陰で『鉄壁団』などと呼ばれてますがね」

「フォローしておくがほめ言葉だからな。彼らの防御能力はCWOでも最高クラスだ。つまりは戦うよりも守ることを重点に置いてるギルドってことだ」


ああ、それで納得がいった。無意識にフェアリーガードと比較していたのか。向こうは戦闘で相手を殲滅し、被害を出ないようにするスタイルだからな。

確か第五部隊が盾の役割をしていたはずだが、彼らの部隊ぐらいしか大盾を使っていないもんな。


「要するにラインたちが戦闘を、騎士団の方々が俺を含め生き残っているかもしれない王族、もしくは関係者の護衛を担当するでいいのか?」

「その考えで間違いない。あと、騎士団だけなのはまだ隊長が決まってないからだ」

「いや、マスターはどうした?」

「一応私が立ち上げたのでマスターを名乗らせてもらっているが、実力で言えば私は三番目くらいなのでな」


へぇ~、見るからに固そうで強そうなこの人ですら三番目くらいか。もしかして他にも装飾をつけている四人が現在の隊長候補なのかな?


「さて、ギルド内のことはこの際忘れましょう。目的を果たさないと」

「おっと、これは失礼したセラフィムのギルドマスターよ」


……もうこの人が隊長でいいんじゃないのか?







それから印が書いてあった西方面へとみんなで進行する。先頭を歩くのはラインやアポロンさんなど高Lvのプレイヤー。彼らのおかげで現れた敵も問題なく先に進めている。

なお俺は最も戦力にならないかつ守るべき存在ということで列の真ん中にいて、騎士団の皆さんに囲まれている。


「しかし、クエストに地図が入ってて助かった」

「お前もう少しクエスト受けておけ。こういうクエストは目的地までの場所が付いてくるものだぞ?」

「それ、面白さ損なってないか?」

「いや、余計に戦力が必要ってクエストだから新米が間違えて受注しないようにしてるんだろうぜ」


なるほど、そういう意図もあったのか。やはり俺だけでは100%達成できないクエストだったんだな。


「あ、この辺だ」


地図の×印と今自分がいるエリア3の地図が重なった。となればこの近くに地下通路に続く何かが隠されているはずだ。


「よし! 先ほど確認した通り【看破】持ちは辺りを確認! 他のメンバーはフォロー!」

「こちらも上空から探りを入れましょう。アポロンさんのところもお願いしますね」

「了解。こっちはそちらほど鳥人族が多いわけじゃないけれど、みんな! よろしくね!」


事前に決めていた通りに散開する。クエスト受注したのは俺だが、さすがに俺だけしか発見できないなんてことはないだろう。他にもいる【看破】持ちも辺りを確認し、上空からも探索することでより発見しやすくする。

散開したことでこれまでよりも戦闘が厳しくなるが、全員それなりの実力者だ。俺が足を引っ張らない限り問題ないだろう。




そして探索すること10分程度、セラフィムのギルドメンバーから全員にリンクチャットが飛ばされ、その位置に全員が集合した。


「え、ここ?」

「マジか?」

「これはさすがに……」

「やはり【看破】まで鍛えたスキルは伊達じゃないですね」


集まった面々がそれぞれ感想をこぼす。俺も言われなければこれが入口だなんて信じられないだろう。


「ですねよ。でもこういう隠しイベント系ってそう簡単には見つからないと思って」


発見したセラフィムのプレイヤーも「まさかな~」と思って観てみたらビンゴだったらしい。

その場所とは木そのもの。見ただけだとそこらに生えている無数の木と全く変わらない。

しかし【看破】を発動させながら近づけば、確かに木の中に転送用の魔法陣が見える。あの老婆、何が「地下へ降りる」だ。転移魔法陣だなんて聞いてないぞ。


「それで、これどうやって起動するんだ?」

「触ってみたが普通の木の感触と同じだぞ?」


さらに問題が一つ。木の中に存在する魔法陣に【看破】を発動させている者以外触れることができない。俺は【看破】を発動させているので今も右手が触れているが、他の人が見れば俺の手が木の中に埋め込まれているように見えている。


「いっそ壊せばいいのでは?」


どうするか考えているときに誰かの一言でアレを思い出した。となると確認がいるな。


「ライン、例のアレは?」

「悪い。もう無い」


そして俺の手持ちも無い。うーん、さすがにここで無駄に時間を使うのは避けたい。何よりこの隠し通路には王族の生き残りがいる可能性があるのだ。ここで長時間固まってそれをどこからか魔族にでも見つかったらかなりまずいことになる。


―主。聞こえてますか?―


「ん?」


周りを見渡すもみんなどうすればいいかの話し合いに夢中で俺に声をかけてきた気配がない。空耳か?


―主。もし聞こえていたら叩いてください―


「叩く?」

「どうかしたの?」


偶然近くにいたエルジュが声をかけてきた。さきほどよりも声は確かに聞こえてきているが、エルジュの様子からしてどうやら俺だけしか聞こえてないようだ。となると俺に関係しているナニかが話しかけている。


となれば答えは一つしかない。

おれはゆっくり、万が一傷一つ付かないよう丁寧に指輪を叩いた。


―ああ、聞こえているようで安心しました―

「何で?」


言ってから気づいた。これ会話できるのか?


―ようやく前回の使った魔力が全回復しましたので紋章を通して話せるか試してみました。どうやら成功のようですね―


どうやら意思疎通はできるみたい。しかし言い方からしてこの方法にも魔力が必要みたいだな。


―ところで、先ほどから何か別の力を近くで感じるのですが?―

「別の力? それって転移魔法陣を隠しているこの木のことか?」

―転移魔法陣を隠している? その木に指輪を当ててみてくれますか?―


言われた通り指輪を当てる。【看破】を発動していないので当然木をすり抜けることはできず、コツンと音がして指輪の紋章部分と木がぶつかる。


―ああ、これはスライムですね―

「ス、スライム!?」


俺が叫んだ瞬間、木がバラバラになった。

ではまた来週です。


CWO「おい、エイプリルフールネタは?」

作者「なんで口だと嘘って出やすいのにこんなに書きにくいんだろうね<トオイメ>」


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