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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第十四話:集い

なんとこの作品にレビューを書いていただけました! この場を借りてお礼申し上げます! 本当にありがとうございます!

試作を重ね、なんとかパロン様に頼まれていた6人分のミックスアイスが完成した。おかげで採取した果物の在庫が無くなってしまったのでまた採取に行かないとな。その前に隠し通路を先に探さないといけないが。






翌日いつものように昼食をみんなで食べていると努から次の日曜日に洞窟を攻略することが決定したと言われた。その際、努たちも同じように攻略部隊に参加することも告げられた。


「となると隠し通路はどうするんだ?」

「お前の戦闘能力を考えると正直俺たちだけで護衛するのは微妙なんだ。現状ブレイズのメンバーでエリア3を戦えるのは主力メンバー以外だと10人くらいだからな」

「それだけいれば十分じゃないのか?」

「お前の護衛だけなら問題ないが逃げている王族の生き残りがどれだけいるかわからないからな。それも考えて先に洞窟を攻略し、それから何人か追加して行くことにしたんだ」


俺はエリア3のことを全く知らないからその辺は任せるしかない。となればあのアステルさんも来るのかな? 正直あの人とはどう接すればいいのかわからないな。

その辺も努やティグルと名乗ったあのプレイヤーに任せることにしよう。


「そういえば空たちは洞窟攻略に参加しないのか?」

「私たちも含めて鳥人族は洞窟には入らないよ。天井が結構低いし、通路も狭いからせっかくのアドバンテージも活用できないんだ」


そうなると努たちが洞窟に向かう時に空く街防衛のほうに向かうのだろう。

となれば、俺もせめて攻撃アイテムを量産、もしくはより強いアイテムの生産に励むとしましょうか。





「それで? なぜこの場に俺まで?」

「製作者ですから」


今いる場所は正直何処かわからない。ダイブインしてルーチェに到着したらなぜかアリサさんがいて謝られながらも問答無用で転移させられた。

その先ではパロン様が待っていてまたしても転移されて、今いる場所に到着している。


転移されたときは背中に壁のようなものがあり、正面にしか進めないようになっていた。進んだ先には円卓があり、上から太陽の光が注がれている。

見上げると枝と葉が見え、振り返ると出てきた場所が洞のようになっていた。


なお「この場所はどこなんですか?」とパロン様に訊いたが「一応秘密となっているので」と断られている。しかし円卓に備えられた椅子の役割と思われる巨大な葉の数とパロン様に頼まれたアイスの数、さらに俺たちが出てきた洞を含めてその数が全て一致していることからなんとなくこの場所の意味は理解している。


「あら、本当に連れてきたのね」


声が聞こえたほうに顔を向け、そのまま固まる。

現れた人物は魔力光を纏っていることから間違いなくハイフェアリーだろう。俺が固まるほど驚いたのはその容姿だ。


それは俺の好みにどストライクだったからとか今まで見てきた中で特別な容姿、例えば全身真っ黒だったからとかそういうわけではない。いや、そのほうがまだ衝撃が少なかっただろう。


「あら、説明してなかったの?」

「説明するよりも見せたほうが理解していただけると思いましたから」


俺の様子を見て困惑するその人にパロン様が近づく。もうそれだけで衝撃が増してしまう。


「パロン様って、双子だったんですか?」


全く同じ顔。同じ長さと色の髪。さらに言えば着ている服や魔力光の煌きまでもすべて同じ。こうなると双子というより同一人物、もしくはクローンの可能性のほうが高そうだ。


「いえ、違いますよ……これから話すことは他の方、特に妖精族の皆さんには秘密にしていただけますか?」


俺が知るパロン様からの問い。プレイヤーではなく妖精族、しかも言葉からしてNPCに対してというのが気になるが、ここは素直に首を縦に振る。


「ありがとうございます。では、少し見ていてください」


そう言うとパロン様は何やらつぶやきだした。それを見てパロン様そっくりの人が驚愕の表情を見せる。

何をそんなに驚くのかと思っていたら、急にパロン様の髪の色が変化し、長さもショートヘアになった。


「これが本来の私の髪なんです」


言い終わるや否やすぐさまこれまで見てきた髪に戻る。そして新たに口を開こうとしているのを見ていた俺の視界が突然黒く染まる。


正しく言えば誰かに押し倒されたのだ。さらに首元には冷たい感触のおまけ付き。


「貴様。何者だ? なぜ幻影の解呪ができる?」


幻影って何?と思っているとパロン様の声が響き、俺は解放される。


「大丈夫ですか?」

「ええ……やっぱり同じ顔なんですね」


俺を押さえつけていた張本人と思われる短刀を握る女性もパロン様と全く同じ容姿だった。この光景と先ほどの幻影という言葉を合わせればさすがに気づく。


「つまり、その姿は魔法か何かで化けているのですね」

「それは半分正解よ。異世界からの客人さん」


またしても現れるパロン様そっくりの女性。この時点でそっくりの容姿が4人。椅子やアイスの数からしてあと二人も出てくるのか。同じ顔ばかりだとなんだかわからなくなってくるな。


「では、お茶会を始めます」

「他のパロンはどうした?」

「ツバキとカエデは今回出れないようです。急な集会でしたからね」


それぞれが椅子に座り、俺もパロン様に導かれるように椅子に近づく。しかし椅子の数は決まっているので俺が座る分の椅子は無い。


「待っててください。今生やしますから」


椅子に座ったパロン様はまたしても何語かわからない言葉をつぶやく。するとパロン様の横に芽が出てきてすぐさま同じような巨大な葉となった。


「どうぞ、お座りください」

「あ、ありがとうございます」


魔法に関してはもう見慣れてきた気がしてたが、こんな魔法は見たことない。もしかしたらこの魔法は生活用のため俺たちプレイヤーには習得できない魔法なのかもしれないな。


「さて、先にあなたのお名前を伺ってもよろしいですか?」

「あ、アルケです」


考え事をしていたので思わず素で返してしまったが向こうはそれを無礼とは思わなかったようだ。でも、相手はパロン様と同じくハイフェアリーの長たちだ。これからは敬語を使うようにしよう。


「アルケさんですね。あなたに先ほど半分正解と言った意味を先に伝えておきましょう。あ、私のことはキクと呼んでください」

「わかりました」

「素直な人ね。私はボタンよ」

「私はバラだ。そっちは知ってるよな」


バラと名乗った先ほど俺を押さえつけた女性はパロン様を指す。その問いにパロン様は下を向いた。


「おいおい。この場に連れてくる奴だろ? なんで教えてないんだ?」

「……つい、忘れてまして」


え~!?と思った俺は悪くないと思う。


「今更ですが、自己紹介です。私はこの中ではサクラと呼ばれております」


その名とこれまで聞いてきた名前を聞いてピンときた。


「もしかして聖樹の名前ですか?」

「ほう、頭は悪くないようだな。気にいったぜ」

「そう思うのなら、さっきの無礼を詫びるべきじゃないの?」

「うるせぇぞボタン。新入りのくせによくしゃべる口だな」

「あなたこそ、キク様の次に古参のわりに汚い言葉遣いではなくて?」


なんか雰囲気が悪くなってきたところでパンパンと音が響く。音の主は手を叩いたキクさんだ。


「二人とも。お客様の前です。余計な言動は慎むように」


キクさんが注意したらすぐさま姿勢を正すボタンさんとバラさん。先ほどボタンさんがキク様と言っていたからこの人が長の中でも一番上ということか。

同じ上でもギリアムと雰囲気が全然違うな。あっちは威圧してたが、キクさんは威厳がある。


「今更ではありますが、一応ご説明から。今聞いていただいたように、そしてあなたが推測した通り、私たちはそれぞれの地のご神木である聖樹様のお名前をここでは名乗っています。それはパロンという言葉自体が『ハイフェアリーの長』を意味しているからです」

「なるほど。ということはここ以外では今まで通りパロン様と呼んだほうがよろしいですか?」


サクラと名乗ったパロン様に顔を向けると頷かれたのでこちらも頷き返す。


「それでは、新しいアイスとやらを頂きましょうか」


そしてようやく本番が始まる。

書いているうちに食べたくなって最近アイスをよく食べてます。コーンポタージュ味復活しないかな~。


では、また来週です。

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