第十九話:実験
ある程度納得したところで俺はポーションの実験をすることにした。
内容は“一番回復量の多いポーションの作り方は何か?”である。
そこで同じようにちぎり、今度はさらに溶けやすいよう先ほどよりも細かくして見た。
結果はこうなった。
〝ポーション″・回復アイテム・C
細かくちぎりすぎて成分が失われた薬草から抽出したポーション。
回復+33
効力:E
どうやらあまり小さいと成分が無くなるらしい。正確には溶けすぎたのだろう。作成時間がさっきよりも短かったし。
次は最初と同じ大きさで挑戦する。しかしちぎるのは一枚枚だけで、後の二枚はそのまま入れた。
すると結果はこうなった。
〝ポーション″・回復アイテム・C
調合水と交った液体に浸した薬草から抽出したポーション。
回復+38
効力:D
今度は成功。しかも効力がアップした。
その後、時間いっぱいまで調合を繰り返した。
今日は予めタイマーをセットしておいたのでタイムセールには間に合いました。
……でもどうすんだよこの大量のトマト。
「だからハヤシライス?」
「まあ余った野菜の処理もしたかったし」
夕食時、空と共にトマトを煮込んだハヤシライスを食べる。個人的にはカレーのほうが好きだがこれはこれで悪くない。……まあ、煮込んだって言ってもカレールーで作ったカレーにトマト加えただけなのだが。
「そういえば父さんたちは?」
「夜勤にはならないみたいだから夜には帰ってくるって」
明日も仕事なのに大変だな。俺も将来はどうなることやら。
「ご馳走様でした!」
「食器は浸しておいてくれ」
「あいさー」
妙なテンション空。大方CWO関連だと思うが。
「そういや兄さん。【錬金術】で作ったポーションって何か違うの?」
「どうした急に?」
「いや、これから“嵐の空”のフィールドボスに挑む予定なんだけど市販のポーションだと不安なんだよね。 【薬剤】持ちの露店プレイヤーのポーションも大して変わりないし」
「特に変わりないぞ。 少し回復量が多いだけで」
すると空の目が細くなる。あれ? 何かまずいこと言った?
「少しってどれくらい?」
「え~と……」
言いようもないプレッシャーが俺を襲う。しかしそれ以上に“早く言え”と無言で言い放つ双眸に耐えきれず言葉を発する。
「一応、市販よりも10多い」
「良し! すべて売って! いくら!?」
こうして最高傑作だったポーションはすべて奪われた。
せめて一本は記念に取っておこうと思ったのに……
最後に出てきたポーションのデータ
〝ポーション″・回復アイテム・C
薬草とアレンジされた調合水のコラボから生まれたポーション。
回復+40
効力:C
調合方法『薬草×3+調合水×1』
事前に薬草を一枚粉末状にし、調合水に混ぜておく。
残った薬草をちぎり、混ぜ込んだ調合水に入れる。
薬草が調合水に溶けるまでかき混ぜる。




