第七話:すんなりとは進まない
一日遅れてしまい、大変申し訳ありません。
プロットはできてるけど、やはりつなぎの話を作るのは大変です。はげそう。
追記:タイトルが八話になってました。申し訳ありませんでした。
何とか落ち着いてくれたルーシアさんを改めてリンネが紹介してくれる。
「こちらはルーシア。さっきも言ったけど虫系統を好んでるへんじ……奇抜な人」
「そこは正直に変人でいいよ?」
とりあえずこの会話だけで二人が仲いいのがわかる。
その後も二人の会話を楽しんでいると「あ」と声を上げるリンネ。
「ご、ごめん。盛り上がちゃって」
「いや、楽しんでるからいいよ」
「いやいや。こちらもごめん。でも、アルケさんほどの有名人と知り合いなら教えてよ」
そういえばさっき変なこと言ってたな。
「さっきの一番星って何のこと?」
「あれ? 本人は知らないの?」
「アルケさんこういうことには疎いの」
するとリンネはまたしても指先を動かし始めた。今後は何をしてるんだ?
「……あった。これ見て」
ウィンドウを可視状態にして見せてくれる。どうやら掲示板のようだ……が……
「『有名人二つ名コーナー』?」
「そうそう。名前通り有名人にふさわしい二つ名を決めちゃう掲示板だよ」
「ちょっと待て。本人の意思は?」
「無いですよ。勝手に決めてますから」
試しに自分でも掲示板を開き、他の候補も見てみると実は一番多かったのは『錬金術のお姉さん』。これはずっと言われたが単純に見た目からの印象だと思ってた。まさか二つ名扱いされていたとは。
他には『攻撃神』とか『爆弾魔』なんてのもあるみたいだな。フレイムボムのイメージや俺が有名になったきっかけのあの動画がいまだに影響強いということか。
というか『一番星』って数人しか同意してないぞ。
「なあ、なんでこの中で一番星を使ってるの?」
「だって、わたし名付け親だし」
OK。この人は本当に独特な人なんだと理解した。ルーシアさんの横、死角になっている位置でこちらの考えに気づいたリンネが「うんうん」と頷いてるし。
「さて、なんかこの流れついさっきもあった気がするけど、本題に入っていいか?」
「ついさっき?」
「えーと、気にしないで。あはは」
漫画やアニメとかなら汗が流れそうな顔をしているリンネをほっといてルーシアさんに〝黒曜虫の甲羅″の甲羅について訊いてみると目をキラキラさせた。
「あれのすばらしさに気づくなんて。さすが私たちの一番星!」
「それはできれば止めてほしんだけど」
しかし興奮状態になったかのように〝黒曜虫の甲羅″について語りだしたルーシアさんを見て諦めた。
一方すかさず露店に配置されていた椅子を差し出すリンネ。さすがは知り合いだ。
「これいつ帰ってくる?」
「五分くらいはこのままよ。そういえば、なんで〝黒曜虫の甲羅″が必要なの?」
「ついさっき見つけた新しい調合に必要な素材なんだ」
それからはお互い近況報告となった。リンネは懇意のプレイヤーが増えてきて忙しい日々を送っていたがエリアクエスト開始によって最近は鍛冶よりも研磨の機会が多い様だ。
ただ研磨しても【鍛冶】スキルが上達するわけではない。そのため今は新しいインゴットを用いての新武器の作成に力を入れているとのこと。
新しいインゴットには興味を持ったがそれを尋ねる前に声が響いてきた。
「……つまり虫素材は今でも評価されるべきなのよ!」
「お、決め台詞。今なら意識戻ってきてるから」
なんかひどい扱いされているようだが、とりあえず〝黒曜虫の甲羅″が余ってるか訊いてみると露店の在庫を確認し始めてくれる。
「今の在庫は78個ですね。いくつ要りますか?」
予想以上に多いな。確か〝黒鉄″を作るには2個必要で、さっき作った普通の鉄が30個だから、全部加工したら60個。でもさすがにそこまでもらうわけにはいかないよな。
「可能ならば10個頂けると助かるんだけど」
「それくらいなら問題ないです……どうぞ」
トレードウィンドウが表示されたのでこちらもコルを入力……そういえばこの交渉はしてなかったな。
「すまない。いくら渡せばいいかな?」
「あ、そうですね。どうしましょうか? さすがに素材だけで交渉したことないので」
そう言われたがこちらは価値がわからないので答えようがない。
するとリンネが「それで作った防具の6割とかでいいんじゃない?」と提案してくれたので合計して3000コルを渡した。
最後にルーシアさんともフレンド登録をして俺はルーチェに戻ることにした。リンネたちはもうダイブアウトすると言ってたのでここでお別れだ。
「さて、時間も遅いからちゃっちゃと始めますか」
時刻を見れば普段ダイブアウトしている時間だが気になってしまったので一回だけ調合することにした。とりあえず、最初なのでレシピ通り〝鉄″1個と〝黒曜虫の甲羅″2個で調合する。
そして二つを入れていつも通り窯の中を混ぜようとして気づいた。
(なんか、重い?)
これまで〝鉄″や〝翡翠″、〝メノウ″など様々なインゴットを作ってきたがそのどれとも違う重さを感じる。しかし混ぜられない重さではないので両手でしっかり握ってかき混ぜる。
混ぜた時間は5分程度だが、終わったころには汗だくになっていた。いや、CWOでは汗は出ないので気分の問題だが。
調合結果は無事成功だが、やはりレシピ通りで作ったせいでレシピと同じ性能だ。これでも問題ないがせっかくなら良い物を作りたい。
(とりあえず、今日はこれで終わるか)
時刻はすでに普段寝る時間を過ぎている。成功することは確認できたのでこれでダイブアウトすることにした。
翌日、昼食をいつものメンバーで食べていると努が話しかけてきた。
「そういえば例のアイテムはどうなりそうだ?」
「調合には成功した「マジか!?」落ち着け。まだ成功しただけだから調整が必要だ」
一転して落ち込む努。どうやら近くで魔族らしき影を確認した人数が増えてきたようで数日以内に魔族の進行が予想されているらしい。そのため、一刻も早く城壁を完成させたいようだ。
「それなら調合不十分だがアイテムを渡しておこうか?」
「そうだな……そうしてくれると助かる」
学校が終わり、夕食も食べ終えてからCWOにダイブインする。今日から錬金術ギルドでフレイムボムなどが発売されるのでルーチェのお客さんは0。しかしラインにお願いしてエリアクエスト攻略に協力中ということは掲示板などで伝えてくれているので騒動はない。
「そのはずなのにこの大勢の人は何?」
「えっと、実はお願いがありまして」
そう言うのは初代、いや二代目売り子さんとしてルーチェを支え続けてくれているクララ。よく見れば妹のクラリス、いや売り子全員が同じように懇願の表情をしている。
(そうか。そういうことか)
二回ほど頷くとクララに向き合う。そしてお互いの口が同時に開く。
「お給料の増額ですか?」
「アイスの種類を増やせませんか?」
「「「「「「「「「「「……え?」」」」」」」」」」」
来週は水曜日に投稿できるようがんばります。
CWO「そう言っておいて何度も投稿できてないぞ?」
作者「やめて!」




