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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第三話:錬金術ギルド

またしても時間に間に合わず。時間を止めるタイマーとかどこかに売ってませんかね?

「ここか」


すでに日付が変わって午前0時30分。いつもどおりルーチェの仕事を終え、在庫整理などの後始末も済んだ後、アップデートによって新しく増設されたギルドエリアに転移した。


ギルドエリアはその名の通りギルドが集結したエリアで転移泉から転移できる。その際に行きたいギルド名を入力すればそのギルドの真正面に転移可能となっている。その機能を使って今俺は努から聞いた錬金術ギルドの前にいる。


「さて、上手くいくといいんだが」


ここに来た目的は努から聞いてどんなギルドか見てみたかったのもあるが、もう一つ大きな目的がある。それが達成されれば俺の錬金術生活がずいぶんと変化することになるが、はたして上手くいくか。


「ここで悩んでもしょうがない。とりあえず、話してみよう」


俺は錬金術ギルドの扉をノックする。

これも努から聞いたのだが、ギルドの扉をノックするとウィンドウが表示され、そこに用件を書き込むと中にいる人物にそのメッセージが送信される仕組みとなっている。やはりアップデート内容はちゃんと見ないといけないな。


『こちらは錬金術ギルドです。ご用件は何でしょうか?』


表示されたウィンドウの下にある入力画面に『アルケと申しますが、ギルドマスターさんはいらっしゃいますか?』と入力してOKを選択する。











「……反応無しってことはだれもいない?」


あれから3分以上待っているが何も反応が無い。しかし、ギルドマークを表示した看板が光っているから間違いなく誰かしらいるはずなのだが。


するとようやくドア枠が光った。確かこれで入れるようになったはずだ。


中に入ると受付らしきカウンターに女性がいる。


「こんにちは。こちらは錬金術ギルドです。ご用件をお伺いします」


あ、NPCだったみたいだ。とりあえず、ギルドマスターを呼んでもらうか。

そう思って声をかけようとしたら右にあった扉が開いた。


「お、マジだ」

「え!? 本物!?」

「な、なんで俺たちのギルドに!?」

「もしかして、訴訟起こしに来たとか!」

「いやいや、俺たちまだそこまでの実力ないぞ!」


いろいろツッコミを入れたいがとりあえず誰がギルドマスターなのか訊いてみた。


「あ、ギルマスはもうすぐ出てきます」

「そうなんです……」


かと続けようとしたら今度は左側の扉が開いた。

そこから出てきたのはまさにお嬢様みたいな髪型をした女性。たしかドリルヘアーっていうだったか?


「あ、ほんとにアルケさんだ!」

「えっと、あなたは?」

「ご、ごめんなさい! わたくし、ここのギルドマスターをしておりますキャロルと申します」


名前とか金髪とか明らかに狙っているようなアバターだが、お辞儀をする作法は本物っぽいからもしかしたら本当にお嬢様なのかもしれない。


「そ、それでアルケさんともあろうお方がわたくしたちのギルドにどのようなご用件でしょうか?」

「それなんですが、一旦場所を変えませんか?」


さっきからここのギルドに所属するプレイヤーたちの視線が痛い。ついでに言うと右の部屋から嗅ぎなれた匂いがする。


「それでは、わたくしの部屋に……」

「その前に、みなさん調合の途中なのでは?」


俺の一言により、慌ただしく部屋に戻っていくプレイヤーたち。しかしすぐに爆発音が響いた。【錬金術】って時間空けるとすぐ爆発するんだよな。特に中級錬金術で覚えられる物が。






「粗茶ですが」

「結構なお手前で」


ギルドマスターのキャロルさんの部屋は見た目や性格に反して小物類などは特になく、必要最小限の物しか置いてない。その中で目立つのが食器棚とそこに飾られた錬金アイテムたちだ。


「すいぶん大切に保管してるんですか」

「ええ。とても大切なものです」


その表情から本当に大切なものなんだとわかる。

……っと見とれている場合じゃなかった。


「さっそくですが、本題に入ってもよろしいですか?」

「は、はい!」


なんでそんなに緊張してるのか不思議でしょうがないが、とりあえず用件を伝えてしまおう。


「実はですね、ルーチェで売っている錬金アイテムの一部をここで販売してほしいのです」

「……は!?」





すごい驚かれたので落ち着くのを待って改めて話をする。


俺がこの錬金術ギルドに来た本当の目的はルーチェで販売している錬金アイテムをこちらで販売してくれないかということだ。

事前に集めた情報によれば、このギルドの構成員は全員【錬金術】を習得しているプレイヤーばかりだ。そして先ほどの爆発音からして最低限【中級錬金術】までには至っていると思われる。


それを見込んで俺は〝フレイムボム″・〝スノープリズム″・〝レインティア″・そして〝ライジンディスク″の4つをここで販売してほしいと頼み込みに来たのだ。


「えっと、そこまで私たちのギルドを評価していただいたのはとてもうれしいのですが」

「何か問題が?」

「大ありです! 私たちは全員まだ【中級錬金術】の段階です。その段階ではアルケさんが作る錬金アイテムと同程度の物が作れるわけがないんです!」


あらら、どうやら勘違いしているみたいだな。


「ルーチェで売ってるのはコレですよ」


俺はルーチェで売っているそれぞれのアイテムを見せると「うそ!?」っととても驚かれた。まあ、全部効力Cだからな。


「ほ、ほんとうにコレを売っているのですか?」

「ええ。大量に作るにはこれしかなかったので」


さすがにかわいそうに思うが、大量に作るには〈高速錬金術〉を使うのが一番だ。そのため、効力や品質は度外視で作っている。


「これなら可能ですよね?」

「ええ、はい。これでいいのなら我がギルドでも十分生産できます」

「では……」

「いえ、それでもそう簡単にお応えできません。ギルドメンバー全員と話し合う必要もありますし、それに……」

「それに?」

「今までルーチェで売っていたものを販売するのです。それなりの在庫が必要です。さすがに今の在庫では不足してます」


受け答えからするに販売自体はしてくれそうだな。


「では、契約自体は成立したと判断していいですか?」

「……でも、本当にいいんですか? これを売ることなら確かにできます。でも、そうなるとアルケさんの、ルーチェの存在が……」

「あ、ご心配なく。じつはまだ試してない調合がたくさんあるので、それらを試したいと考えているのです」


それを聞いてホッとした様子のキャロルさんだが、どうやらまだ腑に落ちないことがある用だ。


「しかし、それでもやはり不安はあります。私たちの錬金術ギルドはこの前のアップデート後に設立したギルドなので知名度がありません。そのため、どうしてもクレームや不満の心配が……」


「そこは俺に任せてくれないか?」


急に聞こえてきた声に振り向き、思わず叫び声をあげた。


「ライン!?」

「よ!」


そこにいたのはまさかの知り合いだった。


「あれ? ずいぶん早いお帰りですね?」

「ああ。約束された素材は持ってきたぜ」


ちょっと待て。これどういうことだ?

次回も水曜日22時更新予定です。


それと、25日0時にクリスマス特別編をお送りします。こちらのほうはすでに完成しているので遅れることは無いですが、本編間に合うかな?


では、また。

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