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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第六十六話:ボス戦開始

開けた扉の先はこれまで見てきたような空間ではなく、大広間のような和風な部屋だった。それでも魔法が打ち合えるほど巨大ではあるが。


そして奥に佇む人影。間違いなくボスだろう。

その姿に近づきながらボスについての情報を思い出していた。


ボスは初級、中級、上級どれでも同じ。身長は2mくらい。武器は片手剣のみ。力よりも連撃による攻撃が多い。当然、強さは上のクラスに行くほど強くなっていく。


そして中級、上級には部下が付いてくる。中級では女が一人、上級では同じ女一人に男が一人加わる。文字だけならそれだけの変化だがどちらも強く、こちらも連撃を得意とし、さらに素早い。特に男性のほうは格段に速いらしい。


一方すべてに共通する事項が二つある。


一つは開始20分経つと雑魚としか言いようがない強さの敵が大量に出現する。ちなみにこの敵はプレイヤー側、ボス側どちらにも攻撃を仕掛けてくる、いわば第三勢力だ。なお雑魚キャラは全て同じ外見だが当然上級のほうが強い。あくまでそのクラスに挑戦するプレイヤーたちにとっては雑魚という感覚らしい。

この雑魚キャラは出現してから10分間出現し、10分経つと自動的に消えるらしい。その後ボスのステータスが変化することは無いため、単なる演出に過ぎないようだ。


もう一つはボスの残りHPが30%を下回ると持ってる武器が青く輝き、魔法をも切り裂くようになる。

そのため、初めは広範囲魔法でHPを削り、最後は前衛が戦うというのがこのボスを倒すセオリーだ。


それを調べておいたので予め作戦を考え、今に至る。

作戦と言ってもティニアさん&アリサさんの魔法、スワンとリボンの援護射撃、アリアさんの回復、そして俺が壁役といつもと変わりないが。




頭の中でそんなことを思い出しながら人影に近づく。


実はこのボスと部下、そして雑魚キャラについて基本的な能力や特性などは情報があってもなぜか容姿については一切の情報が無い。

それに関しては初めてこの情報を載せたプレイヤーが『容姿については一切載せてはならない』と厳命させているからだ。当然反発も起こり『なら、俺達がそれを乗せてやる!』と意気込んで行ったが、帰ってきた彼らも『容姿はダメだ。あれは載せてはいけない』とコメントを残している。

その後も何人も情報を更新しているが、誰も容姿については書かないので今回のイベントの中でも疑問視されている。



そんなボスの前に近づいていくとどこからか音楽が流れてくる。一瞬戦闘BGMかと思ったがしばらく聞いているとその音楽に聞き覚えがあった。


(いや、ちょっと待て)


本来の音色とは違うが、このメロディーを間違えはしないだろう。以前努に「この曲良いだろ?」と紹介された曲だ。いつものアニメの曲とは違って新鮮だったので聞いてしまい、いつの間にか聞くようになっていった。


このメロディーが出てくるとなると、ボスの正体にも見当がつく。そうなると、上級クリアできる人いるのだろうか?


足を動かしながら、後ろを振り返り全員の様子を確認する。


NPC三人は聞き覚えがあるはずもないので戦闘態勢を維持したままだ。

スワンとリボンは頭に?マークを浮かべているような顔をしている。「聞き覚えがあるけどこれなんだっけ?」みたいな感じだな。これもある意味納得できる。これは男の子ならわかる曲だ。


とうとうお互いの顔がはっきり分かる距離まで来ると部屋の壁に取りつかれたモノ、白い提灯に火が灯る。このあたりも忠実に再現しているみたいだな。というか、どう考えても運営側、しかも上の地位にいる人の中にこれのファンの人がいるはずだ。


提灯の灯りによって人影の顔が鮮明になる。平べったい顔に凛々しい顔。まさに俺が想像した通りの人物だった。


「貴公らがここを荒らしている悪党どもか」


ボスの人物が発した言葉に思わずずっこけそうになる。どこかキャラが違うのは、やはりそっくりそのままにするわけにはいかなかったのだろうか。


ボスの発言に俺が苦悩している中、他のメンバーは困惑していた。いきなり悪党なんて呼ばれれば普通はそういう反応をするだろう。


「平穏に過ごしていたこの国の民を自らの利益のためだけに襲ったこと、すべてお見通しだ」


この国の民ってことはダンジョン自体を一つの国として認識しているということか。そういう意味では確かに俺達はクリア目的のために国民を殺してきている殺人犯となるな。


「……答えぬということは、事実だと認めたな」


どうやら答えないとその展開から進まないということはないようだ。


「そのような非道、許すわけにはいかない。潔く、自害するといい」


なんだろう。展開としては間違っていないのに一々セリフがおかしい。そこは「腹を切れ」じゃないのか!?


そして先ほどまで流れていたBGMが止まる。いよいよ戦闘開始のようだ。


ボスの最初のパターンは決まっている。こちらから攻撃しようとも、向こうから攻撃しようとも最初は接近してきてからの連撃だ。


ボスはゆっくりと片手剣、正確には刀を抜き、構える。最初の連撃を防いだ後はスワンとリボンが矢を放ち時間を稼いでティニアさんとアリサさんの魔法のため俺は盾をしっかりと握る。しかし、俺は静かに心の火を燃やしていた。


ボスが刀を半回転させる。チャキという音が鳴り、BGMも戦闘用に変わる。その曲に合わせて突撃してくるボスの攻撃を防ぐと、のけぞったボスに俺は盾を持ったままタックルを仕掛ける。


後ろから驚く声が聞こえてくるが今だけはわがままを許してほしい。曲を聞いて、動画を見て、一度は「やってみたい」と思わせたあの剣戟を直に味わえるのだから。


俺は自分でも知らないうちに笑みを浮かべ、タックルと刀で受け止めるボスと視線を合わせた。


(いざ、尋常に、勝負だ、将軍様!)

さて、この人物誰かわかりましたか? ちなみに子供の頃の私の一番のヒーローでした。再放送、バンザイ!


次回も水曜日に投稿します。

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