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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第六十話:騒動?

最初の部分は前回の続きでティニア視点となっています。

「さて、なんのことでしょうか?」


どうやら相手の狙いはアルケさんのようですね。たまたま約束で外出していて助かりました。


「とぼけるな! ここに商売敵となる錬金術師がいるのは知ってるんだ! 奴はどこ行った!?」


今、商売敵と言いましたね。それで何をしに来たのか判明しました。それならなんとかやり過ごせ……


「なるほど。あんた達はこの集落で回復アイテム売って大儲けしてるから、私たちがあの集落で同じようにポーションを安く売ると私たちにお客が集中して儲けが無くなるから“ここで販売するな”って言いたいわけね」


ってアリサ!? そんな正直に言うと逆効果ですよ!


「話が早くて助かるな。そういうわけだから邪魔すんじゃねえぞ」


あれ? あっさり引くんですか?


「おい、そいつら連れてこい。用件がすんだら長居するだけ損だ」


例の男はそのまま去り、【麻痺】していた男達は他の男が引きずって行きました。


どうやら自分たちが儲かることしか考えない人のようですね。あっさり去ったのは騒ぎを大きくして自分達の立場が悪くなるような事態を避けたのでしょう。

事実、向こうの用件だった“回復薬を販売させない”ことについては達成されています。アルケさんは趣味で【錬金術】を使っているので、面倒なことになるとわかればここでポーションを売るという考えを捨てるでしょうし。


となると、部屋に入ってきたのは念のために雇った護衛だったのでしょう。自分達の不利にならないよう関係ない他人を使ってその後の面倒を避ける算段だったのでしょう。


かなりの頭脳派ですが、ああいう人とはもう会いたくないですね。


とりあえず何事もなく騒ぎは収まったわけですが、こうなるとガンツさんからの依頼はお断りするしかないですね。

向こうもそれが分かっているようで再び近づいてきましたが残念そうな顔をしていました。


「申し訳ありませんが……」

「わかってる。ったく、余計なことしてくれやがって」


ガンツさんを始め、他の方々も不機嫌な顔をしてますね。まあ、当然ですね。


「他に回復アイテムを扱っている方はいらっしゃらないのですか?」

「……聞いたことはあるが、すぐにいなくなるらしい。おそらくさっきみたいにして追い払ってるんだろうな」


先ほどの状況を思い出してすぐに納得します。


もう一度ガンツさんに頭を下げ、ガンツさん達も立ち去ろうとするタイミングでアルケさんとファイさんが戻ってきました。

後から聞いたのですがアルケさんにはスワンさん達から、ファイさんにはメンバーの誰かから連絡があったようで急いで帰ってきてくれたみたいですね。お二人には私から事情をお伝えしてその場は解散となりました。



*ティニア視点(終)*





『ティニアさんが態度の悪い男に絡まれてる!』というメールがリボンから届いたので全速力で走ってきたが無事なようで安心した。しかし、当初の目的だった“回復薬販売集団の様子を見て【錬金術】に活かす”のはこれで不可能になったな。


とりあえず、今日はまだ時間があるのでスワンとリボンの弓を強化することにする。強化方針については俺がファイさんと会っている間に決まっているようだ。


そのまま向かおうとしたら宿の入り口でまたしてもガンツさん達と合流し「念のため、俺達も一緒に行こう」とガンツさんが提案してくれた。向こうもこれから要らないドロップを売るところだったらしい。


鍛冶師が集まるエリアに向かう途中、彼ら全員が同じ部屋だという事が分かり女性陣がざわめきだす。


「一緒の部屋でいいんですか!?」

「実は私たちリアルでも知り合いなの。だからここで手を出したらリアルが大変なことになるから問題ないわ」


「ちなみに、どうなるんだガンツ?」

「…………妻に『実は浮気相手でした』と言うつもりらしい」

「それは辛いな」

「リーダーはまだいいだろ。俺なんて、俺なんて……」


どうやらこのグループを支配してるのはファイさんのようだ。男はつらいね~。



途中素材を売りに行くメンバーと別れ、鍛冶師がいるところに到着したのは俺達とガンツさんにファイさん。


「さて、到着したけど……」

「だれに頼めばいいんでしょうか?」


鍛冶師が集まっている場所は文字通り大勢の鍛冶師がいた。大勢と言っても十数人だろうがそれでもクエストフィールドの中と考えればそれなりの数になる。


「とりあえず一通り見てみましょう」

「そうね。姉さんよろしくね」

「任されました」


弓について一番詳しいアリアさんを先頭に歩いていく。アリアさんは鍛冶師に訊ねることなく、さらに歩きを止めることなく絶えず顔を、目を動かしていく。

一回りしたところで一旦鍛冶師の集まりを後にし、少し離れた広場に移動する。想像以上に暑かったので一旦水分補給しようと言う事になったのだ。


「それで、誰の所に行きますか?」


【錬金術】にも使えるからと〝聖樹の樹籠″に入れておいた水を全員に分けて飲みながら尋ねるとアリアさんは難しそうな顔をしていた。


「正直に言いますと、どこも同じなんです」

「同じ? どういうことだ?」


反応したのはガンツさん。ガンツさんのメンバーの中には弓使いもいたので参考にしようと思っていたのだろう。


「ここにいる鍛冶師の方々が扱ってる武器は主に剣や斧、盾など鉄製の武器を作っている人が多いんです。弓や杖のような木製の武器を扱っている人もいましたが、どの人も腕前が同じくらいなんです」


思い返してみれば確かに剣や盾を売ってる人が多かった。やはりメインの武器として人気が高い剣とタンク役として必要不可欠な盾を扱った方が売れ行きがいいのだろう。


「あのレギルって人の店もあったけど、防具店だったしね」


アリサさんの言葉だが、実は全体の6割が防具店だった。この辺もクエストフィールドならではなのかもしれない。


「外で作った方がいいという事ですか?」

「そうですね。それが出来るならその方がいいです」


普通に考えれば参加していない鍛冶師の方が多いからわざわざクエストフィールドで強化する意味はない。しかし、ここのドロップは外で加工しようとすると質が下がると言う厄介な性質がある。

それはクエスト期間中の話で、クエストが終われば質が下がることはなくなるが、どうせならクエスト中に強化して次に挑みたい。


「ちなみに腕前はどれくらいだ?」

「そうですね。スワンさん、弓をお借りできますか?」


ガンツさんに訊ねられたアリアさんがスワンから預かった弓を見たり弦を引いたりしている。


「この弓なら今より多少能力の向上はできると思いますが、ここのドロップを使う必要はないですね。むしろもったいないです」

「ふむ。その弓、どれくらい強化してるんだ?」

「攻撃力と命中力中心です。後は少し良い木を使ってるくらいですね」

「ファイ。あいつの弓って何製だ?」

「ダグリーンという木を使っていたはずです」

「ダグリーン製ならここのドロップを使わない方がいいですね。むしろ職人の腕を見る限りでは性能が落ちるかもしれません」


ダグリーンがどういう木なのかは知らないが、性能が落ちるということは『その職人はダグリーンと言う木を使いこなせない』という事だ。となると強化はクエストが終わるまで待つしかないのか。


「しかたありません。私がやりましょうか」


…………え?

次回は3月18日(水)に投稿します。スーパーアリアさんMk-IIにご期待ください。


アリア「私は変身することでさらに強くなる! その変身を私は後二回残して……」

作者「そんな設定はありません」

アルケ「アリサンのことかー!」

作者「悪ノリするな!」


アリサ「……ところでアリサンって何?」

ティニア「いいじゃん。私出番無いんだから」

エルジュライン「……」

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