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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第一章:ダイブイン
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第十二話:疑惑

その後も調合を続け、〝ポーション″を10個完成させたところでレンタル時間が終わりに近づいたというアナウンスが流れたので延長せず、そのまま工房から出た。

料金の都合もあるが、【錬金術】の使用にはMPが必要だ。そのMPもすでに0に近かったのでタイミング的にはちょうどよかった。


ステータスウィンドウを表示させると“スキルのレベルが上がっています”の文字。確認すると【鑑定】と【錬金術】のレベルが上がっていた。


「なるほど。 こうやってスキルレベルを上げて、ランクアップを目指すのか」


詳しく確認すると【鑑定】がLv5、【錬金術】がLv3となっている。

どうやら【鑑定】は使うたびにレベルが上がるようだが、【錬金術】は一度調合したアイテムは、次から得られる経験値が最初よりも下がる仕組みらしい。


「そうなると【錬金術】のランクアップのためには新しい調合に挑戦するか、すでに判明した調合を何回もこなすかのどちらかということか」


とはいっても、判明してる新しいレシピは例のβプイレヤーが言っていた〝ミドルポーション″だけで、しかも素材はエリア3にある。


しかし、俺はそれをずっと疑問に思っていた。


(いくらなんでも変だよな。もしそれが本当ならなんで序盤から【錬金術】があるんだ?)


判明しているスキルの中には後にならないと獲得できないスキルもある。例えばその中に【錬金術】があれば、そこにたどり着くまで素材が無くてもおかしくない。

しかしエリア3にたどり着くのにはそうとう時間がかかる。そうなると初期スキルとして【錬金術】があるのはどう考えてもおかしい。


(可能性としてはあのプレイヤーが嘘を言っていたというのが一番しっくりくる)


そうなると新たな疑問が生まれる。それは“なぜ嘘をつく必要があるのか?”だ。


こればかりはラインも知るわけがないので俺が見つけるしかない。


(今考えられる可能性は2つ。1つは“【錬金術】習得者でしか入れない場所がある”)


これについては、ラインが言うことが正しければ、自分で体験済みだ。あの老人の錬金術師の店はおそらく【錬金術】が無ければ入れないと思われる。


(もう1つは“【錬金術】でしか生み出せないアイテムがある”)


実際はこちらのほうが可能性は高いと思っている。

よくゲームに出てくる強力な武器は特殊な鉱石から創られている。

そしてその大抵が入手困難な武器だ。


もしそれらを【錬金術】で調合できるとしたら?


「……まあここまで考えても推測でしかないけどな」


真実を知っているのは彼らだけだ。できれば直接話を聞いてみたいがまず無理だろう。


(というか、会える確率自体低いしな。たしか初回生産分は3万本って聞いてるし)


ため息を吐きながら不意に視界に入った時間を確認する。


そして空を見上げてみればすでに黒く染まっている。


「確か、この世界は8時間で一日だったな」


『朝=2時間、昼=3時間、夜=3時間』でCWOの世界は構成されている。

現実と同じにするとモンスターが強化される夜時間プレイできないプイレヤーが発生し、半分の12時間にすると重要なイベントの最中に学校や仕事でプレイできないとの配慮から、この時間が設定されたらしい。

というか後者に関してはどの時間にしても変わらないと思うのは俺だけだろうか?


ちなみに、CWO配信開始時の時間は昼時間が始まった時間となっている。そして今夜時間帯ということは少なくとも3時間はゲームをしていることになる。


「地味に最長記録更新中だな」


無くなった薬草を摘みに行きたいが、夜時間帯はモンスターが強くなる。これは序盤に出てくるモンスターも同様であるため今の俺ではおそらく手が出せないだろう。


もう一度調合してレベルを上げるという手もあるが、ここで資金を使いすぎると宿で使う資金が無くなってしまう。


CWOにも食欲と睡眠欲はあり、当然買ったり利用したりするにはお金がいる。モンスターを倒せばアイテムが手に入り、それを売ればお金になるがその手段はすでに使えない。


となれば早めに宿に泊まり、現実世界で朝時間帯まで待つほうがいいと思い、宿屋を探すことにした。




ミシェルが言ったように宿屋はなかなか見つからなかったがなんとか見つけた。


少し料金が高く、危うく無一文になりかけたが何とか部屋を借り、備え付きの食堂で簡単に食事にした。……香草付きのパンがおススメと言われたが丁寧に遠慮させてもらった。


そして部屋に入り、ベッドで横になってダイブアウトした。




ダイブアウトしてVR機器を外すと同時、隣から声が聞こえてきた。


「よ。 お前も休憩か?」

「そっちこそ。 レベル上げはいいのか?」


すでにVR機器を外し、ペットボトルのお茶を飲んでいた努がいた。


「俺はβプレイヤーだぜ。 レベルあげるならもう少し先だな」

「それもそうだな。 じゃなんで……」


すでにダイブアウトしているのかと訊こうと思ったら先に答えてくれた。


「夜時間帯にレベル上げようとしているプレイヤーが多くて邪魔なんだよ。 だから今のうちに休んでおいて人がいなくなってから攻略再開しようと思ってな」

「邪魔って、酷くないかそれ?」

「事実を言って何が悪い?」


そう言って努は飲み物取ってくると言って下に降りて行った。


その情熱を少しは勉強に向ければいいのにと思いながら、俺はため息をついた。

話に出てきたプレイヤー(カロン)についての質問は受け付けません。ネタバレになってしまいますので。

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