表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第一章:ダイブイン
12/229

第十一話:初調合

*8月19日誤字修正:特殊なアイテムしたり⇒特殊なアイテムを使ったり*

逃げるように走ってきたおかげで樹海の入り口にはすぐに着いた。


そこでは多くのプレイヤーが狩りをしており、中には妖精族以外のプレイヤーもいる。


樹海の序盤に出てくるモンスターはウィードと言う草のモンスターだ。序盤のモンスターの中では体力が高く、アクトの練習相手として有名らしい。

全てラインから聞いた話だが、このプレイヤーの多さを見る限りでは間違いないのだろう。


そんなプレイヤーの中に入らず、俺は横道へと進む。


しばらくすると開けた場所が現れ、近づくと〝薬草″らしき草が生えている場所を見つけた。試しに一つ採取してみて【鑑定】を発動させる。


このCWOでは採取したばかりのアイテムは〝???の草″や〝???の実″のようにそれが何であるかわからないようになっている。

そこで役に立つのが【鑑定】などの識別系スキルだ。その他にも【薬剤】のスキルがあれば草関連のアイテムはある程度識別できるらしい。

その効果が【錬金術】にも通用するのかはまだ情報が無いが。


ともあれ、鑑定した結果、確かに〝薬草″だった。



〝薬草″・回復アイテム・C

一般的な薬草。妖精族が好む食べ物でもある。

HP+10



「これ一枚で10しか回復しないのか」


ちなみに、初期ステータスでは種族関係なくHPは全快で100。レベルが上がるごとに+5される。また特殊なアイテムを使ったり、クエストをクリアしたりすると上限を上げることができる。

この辺はゲームとして常識だが、このCWOにはもう一つ上限を上げる方法があるらしい。これは公式ページで公開された情報であるが、その正体はいまだに謎のままだ。

エルジュがこれの解明に燃えており(鳥人族はスピードがある反面防御力が他より劣るらしい)、おそらく今頃飛び回っていることだろう。


「さて採取しますか」


採取する際に必要なアイテムも存在するが〝薬草″にそんなものは必要ない。


まあマナーとして根こそぎ採取してはならないのだが、軽く見ても百以上はあるここが無くなることなどあるのだろうか?


そんな疑問を浮かべながらも次々と〝薬草″を回収していき、50枚になったところで終わりにした。


「思いのほか大量に採ってしまった……」


よく見れば“薬草の畑”と呼ばれたここの四隅の一角をすべて採取してしまったようだ。


「次からは自重しよう。じゃないとプレイヤーはともかく、NPCの住民に殺されそうだ」


大げさと言うかもしれないが妖精族にとって〝薬草″は“食糧”でもあるのだ。そう考えるとここが“畑”と呼ばれる所以もよくわかった。




「それじゃ、今度こそ初調合に挑戦しますか」


再び共同工房に戻ってきた。さっきと人の数は変わらなかったので同じ部屋を借りることにする。


スキルウィンドウを開き【錬金術】の文字に触れ、レシピを呼び出す。


???が並ぶ中、最初に表示されている〝ポーション″を選択する。



〝ポーション″・回復アイテム・C

調合方法『〝調合水″×1+〝薬草″×3』



ここに書いてある〝調合水″は窯に入っている錬金術専用の水だ。これ以外だと錬金術が発動しないらしい。

これもレシピがあり、いずれ個人で工房を持ちたい俺はぜひとも覚えたいが今は工房を買うための資金を集めるのが先だろう。


気を取り直して、まず調合水を加熱する。

窯の下に置かれた薪の中から細い枝を取り出し、部屋を照らしている松明から火を分けてもらい、薪の中に戻して火を起こす。

調合水がグツグツ音を立ててきたところで火の勢いを調節する。といっても薪をどかしたり、新しい薪を足したりするわけではなく、火に近づいて手を振るとウィンドウが現れ、そこで温度を調節するだけだ。


ポーションを作る際にはあまり高温だと薬草が痛み、質が悪くなると注意書きがあったので適切な温度に調節し、安定してきたところで薬草を投入する。

ここで薬草をちぎったり、すりつぶしておいたりとアレンジを加えると質が変化するらしいが、初めての試みなので正規の手順である軽く水洗いして水気を無くしたところで投入した。


そばにあったかき混ぜる用の棒を使ってかき混ぜる。しばらくすると調合水の紫色の中に緑色が混ざっていく。これは薬草が溶けて調合水と融合している様子らしい。


その後しばらく混ぜていくと調合水が光だし、さらにその光が強くなって目を閉じてしまう。


目を開けるとウィンドウが表示されており、そこには『調合成功! 〝ポーション″×1』と書かれていた。


「……」


人生初の錬金術成功に俺はしばらくポーションに見惚れ、そしてガッツポーズを天にかざした。

以前あった爆発ネタは当分お預け。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ