プロローグ
西嶋香織。
成績優秀。それでいて美少女。運動は・・・そこそこ。注目の的。
成十華高等学校の先生方、生徒、それと地域の人、他校にまで広がっているその名前。
成十華高校の人だったら、この名を知らないものはいないだろう。
彼女と話したい男子がいるなら、それは叶わない望み。
何せ彼女は男子と話そうとはしない。
それは成十華の男子生徒だったら百も承知。
彼女が成十華に入学してから、現在の二年生に至るまで、誰一人として男子と会話をしている姿なんて見たことがないという。
彼女が会話相手にする人といえば、男子とは話すことがないのだから、自然とやはり女子となる。それも特定の数人の女子と。
そりゃ異性より、おなじ年齢で同姓の方が話は合うと思うが。
特定・・・って。
いや・・・本当に信じられないよ?普通に高校生活を送っていたら、異性と話すことぐらいあるだろうし。別に彼女が普通に過ごしていないわけではない。俺も成十華に入学してから、今の二年生まで、彼女とは一緒のクラスだが、確かに男子と話している風景なんて神以上のものに誓ってみたことがない。
まったく美少女なのに。
羨ましいんだか。
羨ましくないんだか。
どっちにしろ、彼女が男子と話しているという大イベントが発生したとしても、俺にとって西嶋は高嶺の花で、まさに雲の上より高いものとなる。何を隠そう美少女。なんともいえない黒髪で薄く茶色が混じり、ショートカットで清楚な印象をうける。
俺も何度かアピールしてみたことがある。体育で種目がおなじ時に、バスケで綺麗なレイアップを決めようとしたが、あえなく着地失敗。その日は捻挫。もう世界一周走り出したくなるような恥ずかしい思いをするだけ。
もうきっと距離が縮まることがないだろうな。
まぁ、まさかあんな日にあんな衝撃的な出来事が起こるまでは。




