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第一話 シテン

--- ??? ---

「俺は切る!」


旅人は剣を片手に、そう少女に言う。それは彼の物語の終点の記憶。彼の旅が終わりを迎えようとする瞬間であった。これまでたくさんの仲間、敵と出会い、そして別れを告げてきた。その集大成がこの瞬間なのだ。そう、神殺しという結末を…


「やめてよぉ」


その少女は、傷だらけで今にもその命が消えそうな儚さがあった。その少女は泣きそうになりながらも彼に問う。


「私たちはハッピーエンドに向かって進めるんじゃないの?あなたは私にいろんなことを教えてくれた。この世界に生きている人間たちのことや、将来のこととかなにもかもあなたに。なのに、どうして…」


少しの静寂がとても寒い。お互いの距離は近かったはずだった。


「シイナ…お前はどうする。世界をどうするつもりだ。」


彼は、その少女、シイナに問いかける。その冷たい目で、その声で。


「私は…私は!」


これは彼の旅の終点までの話であり、彼女の一生の始まりの話だ。その記憶は、過去に留まるか、未来に進むのかは誰に知らない。


--- 修練場 ---


「せやあ!」


木剣を両手にふるっている俺、レン・ロースターは転生者らしい。理由はわからないが元々住んでいた二ホンという国で交通事故にあい、即死してしまったらしい。その二ホンの時の記憶はあるがいまいち実感はない。今生きていて感じていることは、この剣をふるっている今に充実しているということだけだ。


「振りが甘いですよ」


また、木剣がはじかれてしまう


「力の入れすぎて体が硬いですよ。それじゃあ実戦では当たりません。」

「次こそは師匠から一本取ってやる!」

「口だけは達者ですね。それは実力で見せなさい。」

「言われなくても!はあ!」


上段から思いっきり木剣をふるうが、男性は軽々と避けて側面から脇腹あたりに目掛けて木剣をふるった


「ぐわあああ!」


木剣を食らった俺は地面を転がってしまう。内臓が破裂したような痛さを感じる。とても痛い。


「こんなのが弟子とは…期待外れもいいところです。」

「痛ってええ。師匠もっと手加減してくださいよ。」

「鉄剣で斬らないだけマシと思ってください。実戦では、あなたは死んでいるのですよ。」

「それは分かっているけど、痛いんだよ。」

「その痛さを通じて人は学ぶんですよ。」


そう言い、俺の師匠アイル・コウは木剣とレンを回収し、修練場を離れようとしていた。


「おい、離せよ!俺はちゃんと一人で歩けるって!」

「こっちが楽なので身を任せなさい」

「師匠離せって!俺絶対酔うって、待っ…」

「行きますよ」


その瞬間、修練場には誰もいなくなっていた。


--- レンの自室 ---


「師匠爆速で戻りやがって」


あの後、アイルはレンと木剣をもって全力で自宅まで走っていた。人間じゃねえ。


「師匠…」


ふと思い出すアイルとの出会いを、あの言葉を


--- 五年前 ---

「君大丈夫なのかい?」


雪が降りしきる、寒い時期。路頭に迷っていた俺を師匠は見つけた。


「これがだいじょうぶに見えますか」

「私にはわからないよ」


師匠と出会ったときは、本当に何こいつって思っていた。けど師匠は、こんな俺を家に招いてくれたんだ。師匠曰く、「凍死されても困る」とのこと。その日に食べたシチューは、俺の心をほんのりと溶かしてくれたような気がした。


それから一月ほど家においてもらえることになった。そして、知ることになる師匠の強さに。


半月ほど過ぎたころにはアイルの自宅の周りについてはある程度のことは分かるようになった。東方向に行けば湖があり、西方向には密林がある。毎日水を汲みに行ったり、食材を調達している。そして北のほうには広いスペースが開いていてそこには木剣や、傷の入った丸太などがあり、修練場と俺は認識した。そしてアイルは俺に対してこう言っていた。「南にはいくな」と。日ごろから、そこには何があるんだろうとずっと思っていた。そして行ってしまった、俺の知らない南のほうへ…

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