精神寄生侵略生物
日付も変わった夜中、疲れた顔で足を引きずるようにして歩く男性の前に光り輝く球体が突如として現れた。なんだ、と驚く間もなくその球体は男性の身体にぶつかり、ふっと消えていった。
男性はしばらくの間呆然としたように立ち尽くしていたが、やがてニヤリと不気味な笑みを浮かべるとまた歩き出した。
あの光球は他の星からやってきたエイリアンだったのだ。人間の精神に寄生して少しずつ繁殖して星を侵略する、恐ろしい存在だった。
「さて、しばらくの間はこいつに擬態をして、余裕が出てきたら周りの奴らに寄生をしていくか」
寄生された男性は家に戻るとそう呟き、その日は眠りについた。
翌日になり男性に擬態するために会社へと出勤したエイリアンは驚いた。激務に次ぐ激務で余裕なんてまるでないのだ。
必死に仕事をこなしても次々に別の仕事が舞い込み、しかも給料はまるで良くならない。
エイリアンは今日も余裕が出来ることを願いながら必死に仕事をこなしている。こうしてこの星の平和は守られているのだ。
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