ドライブ
外は快晴。
風もほとんどない。
遠くに見える海も波は穏やかで、すでに海水浴客でごった返している。
私は助手席に彼女を乗せ、国道を南下していた。
日差しが強くなって来た。
「暑くないか? エアコン入れようか?」
彼女は窓の外に顔を向けたままで何も答えてくれない。
さっきの口論が原因だ。
それ以降一言も口を利いてくれない。
私は苦笑いをしてエアコンのスイッチをオンにした。
ゴオオオッと冷気が吹き出し、瞬く間に車内は快適な温度になった。
「そんなに私と口を利くのが嫌なのか?」
その返答もない。私は肩をすくめてハンドル操作に集中した。
やがて私は道沿いにあるコンビニに車を停めた。
「何か飲むか?」
しかし彼女はそっぽを向いたままだ。
「わかったよ」
私は一人で車を降り、コンビニに入った。
「ここに置いとくよ」
私は彼女の分の缶コーヒーをホルダーに入れた。
車は再び国道を快調に走った。
しばらく進むと、警察が検問をしていた。
「嫌だな、こんなところで」
私は警官の指示に従って車を停止した。
「免許証を拝見」
「はい」
「隣の方は気分でも悪いのですか?」
「ええ。車に酔ったみたいで」
「そうですか。安全運転でお願いします」
「はい」
私はホッとして、
「良かったよ。根掘り葉掘り聞かれたらどうしようかと思った」
ここでようやく彼女から反応があった。
「今は切り抜けられたから良かったけど! だから言ったのよ、こっちは検問をよくしてるって! 貴方は私の忠告を無視して!」
彼女は今まで黙っていた分を取り戻すかのように捲し立てた。
「私が間違ってたよ。国道はやめよう。脇道を進めば、いい場所があるさ」
「この車、私のなんだからね! さっさと捨てたいのよ、トランクの中の死体を!」