ネオンテトラとミレニアム 15
3-15
-2000年5月-
「ほう、家を買いたいと?」
「ええ、既に建っていてもいいし、土地だけでも良いです。
渋谷へのアクセスが良い場所で、100坪程度」
真っ白な髪に、着物姿。
眼光鋭く、歴戦の古武士を思わせる。
河内パパこと、河内葉太郎だ。
ここは、河内パパの葉山の別荘である。
彼は実務からはほとんど離れているので、いくつかある別荘を転々としながら、悠々自適の生活を送っている。
奥さんは既に亡く、何だか若いメイドが何人か……詮索はすまい。
「妙子さんと住むのかな?」
「ま、そうなりますね」
「ふむ」
河内パパは、面倒なことに、妙子のことを諦めていない。
無理してどうこう、ってことはないんだが。
「で、わしに何をして欲しいんだ?」
「はい。
馴染みの不動産屋を紹介して欲しいのです。
河内さんは、敏腕経営者でらっしゃいますから、きっと良い伝手をお持ちかと思いまして」
「ふん、調子の良いことを。
……まあしかし、豪太郎とも仲良くしてもらっておるし、利益も貰っているからな」
YYモードのコンテンツビジネスのことか。
【GOUCHI】は、【わいわいゲームらんど!】の成功に気を良くして、【NDDTミンナモ】と、何かやってるらしい。
悠華さんも何か呼び出されていた。
まあ、ビジネスになってるなら、良いけど。
「今の住まいでは、何か不都合があるのか?」
「いえ、そう言うわけではないのですが、やはり地に足のついた住まいを持ちたい、というのが正直な所です」
「ジジくさいことを言う。
岸谷くんのことだ、何か考えがあってのことだろう。
それに、妙子さんが喜ぶなら、否やはない!」
くわっ、と目を見開く。
「は、ありがとうございます」
妙子のこと好き過ぎだろ、このオヤジ。
まあ、バレバレ感は否めない。
勘付いてて言わないのもまた、河内パパの懐の深さなのかな。
「どの辺かな?」
「杉並か、世田谷かと考えています」
「なるほど。わかった。
豪太郎に言っておく。
いずれ連絡があるだろう」
「承知しました」
「ところで今日は妙子ちゃ……さんは?」
「仕事です!」




