ネオンテトラと漆黒の女王 8
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「と、いうことがあった」
週一の、【ネオンテトラ】の幹部会。
場所は例によって俺の家である。
有希の作った料理が並ぶ。
「じゃあ岸谷くん、社長になっちゃったの?」
「まあ、行きがかり上、そうなった」
「社長って、成り行きでなれるものなの?」
とか、他の3人がヒソヒソ話している。
「実地で経営を学ぶ上でも、有意義なことだと思ってな」
「まあ、ちょっとは相談して欲しかったけどね」
この事案は見た目上、働く女性を手助けするものである。
有希達に否やはない。
「すまん、ちょっと早急に対処する必要があった」
俺は頭を下げた。
「ま、良いけど」
「いずれ青木さんを、みんなに紹介する機会もあるだろう」
間を置いて、皿橋が切り出した。
「秋の学園祭ですが、夏の合宿で発表した資料を、展示しようと思っています」
大学の公式サークルは、学園祭で何らかの成果発表をすることが求められている。部室を守るためには、必要なことだ。
何の活動もしていない写真サークルですら、学園祭に向けて作品を用意するくらいだ。
ま、資産運用のシミュレーションなんて、誰が見に来るか、という気もするが。
「うん、良いんじゃない?」
有希の手作りの煮豚を、口に放り込む。
ウマッ!
「それより、12月の冬期合宿、予定では千葉ですよね?」
「うん、そのつもりだけど」
「新潟とか、長野にしません?
私、スキーがしたいなぁ」
新垣、沖縄出身だもんな。
「ちょっと待って!
それ言ったら、私は草津とか、風情のあるところが良いです!」
カキフライを摘んだ皿橋が口を出す。
皿橋、千葉だもんなぁ。
地元で合宿はテンション上がらんよな。
「フフ、私はどこでも良いけどね〜」
妙子、おまえはほんとに良い子だ。
「別に千葉にこだわりがあるわけじゃない。
関東近県なら、俺は構わんから、みんなで決めてくれ。
新潟くらいなら許容範囲だ」
北海道とか言い出されると、出費がアレなんで。
「「さすが会長!」」
「そういえば妙子ちゃん、法学部の河内先輩に告白されたんだって?」
新垣が何気なく爆弾をぶっ込む。
「え、なに!?本当なの!?」
「え、えーと……そうだね。
でも、断ったよ?」
何故か妙子がこちらをチラッと見る。
そして、有希もチラッと見た。
何故だろう、空気が一瞬凍ったような気が……。
「妙子ちゃん、法学部3年の河内 豪太郎って言えば、テニスサークル【ゴールドスワン】の部長さんよね。
大企業の御曹司で、イケメンだって話じゃない。
なんで断っちゃったの?」
有希、すごいニコニコしてるね。
「うーん、なんかビビビっと来ないと言うか……
タイプじゃなかったです」
妙子もめっちゃニコニコしてる。
「ふーん、残念ね……。
ビビビっと来る人、きっと現れるわよ」
「はい、頑張ります!」
「へ、へぇ、そうなんだ〜」
俺の台詞が、空虚に響いた。




