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ネオンテトラと漆黒の女王 6

2-6


秋の夕暮れ時、日も傾き始めている。


バー、【マーガレック】は、隣のビルの2Fにあった。

アンティークな扉を開けると、中は如何にもバー、という薄暗い内装で、カウンター10席、テーブル2セットくらいの広さだった。


「すみませーん、お店まだ開けてなくて……

って、佐里っちじゃん!」


カウンターの奥から声がしたかと思ったら、金髪の黒ギャルが姿を現した。


「あー?どしたの佐里っち。

つうか、そっちは?」


もう一人、今度は茶髪の白ギャルが姿を現した。


「マキちゃん、メグちゃん、ちょっと話があるんだ」




「どうも、投資家の岸谷 順也です」


「マキでーす」


「メグでーす」


黒ギャルがマキ、白ギャルがメグらしい。

お二人とも、結構なエロボディ……ゲフンゲフン、ナイスバディですね。

何でか、高校の制服を着ている。


「一応、確認ですが、お二人は成人で?」


「ウケる!ウチら21だし」


良かった。

ていうかほぼ同年代。


「その制服は……」


「自前の制服だよ〜。この方がお客さんの反応良いからさ」


ガールズバーかーい!

胸元はガバッと開いてるし、えらいミニスカートだし。

そしてルーズソックス!


「そうですか……」


「ジュンジュンも好きでしょ?こういうの」


「触りたくて仕方がないのね?ジュンジュンったらエッチ!」


ジュンジュン……。


「マキちゃん、メグちゃん、ちょっとその辺にして。

岸谷さんは、うちの会社を救う為に来てくれた、高名な投資家なのよ。社長になるかも知れないんだから、失礼のないようにして」


ハードルをどんどん上げていくスタイル!!


「「シャチョー!!」」


何故か両脇から腕を組んでくる二人。


「マキは、シャチョーに助けて欲しいな。

アリリンが居なくなってから、大変なのよ。

佐里っちはテンパっちゃってるし」


「メグ、良い子だよ?

今夜、証明してあげようか?」


グイグイ来るな、この二人。


「いい加減になさい!」


「「はーい」」



「ということで、改めまして、この二人がうちの従業員の、マキちゃんとメグちゃんです」


「改めて、岸谷です。

御社のお力になりたいと思っています」


「ウチたちの会社、ヤバいらしいね。

ジュンジュンは、どうして助けてくれようとしてるの?」


「まさか、ウチたちの体が目当てなの!?

人に言えないような仕事をさせられるのね?」


「ヒィィ!」


二人して体を抱きしめて、恐怖の表情を浮かべている。


「マキちゃん!メグちゃん!」


「「はーい」」



「おほん、えーとまあ、成り行きです。

お二人は、昼間は派遣のお仕事をされる、ということで良いんでしょうか?」


「そうだよ?

マキは、何でもやるけど、アパレルとか、化粧品関係のお仕事するのが好きかな」


「メグは、簡単な事務とか、イベントもやるよ」


「あ、イベントはマキもやる!」


「なるほど」


一応、真面目に働く、らしいな……。

イベントコンパニオンまでやるのか。

対応力がすごいな。



「でもこの前の仕事はウケたよねー?」


「電話のやつ?ああーん、とか喘ぐやつね」


「バカウケ!」


確か、辛い時期を耐え忍んでくれた、大事な従業員、って言ってた気がするんだが……めちゃめちゃ適応してたみたいだ。


「ジュンジュンも好き?ああーん!」


「うう〜ん!」


青木さんが、くわっ、と目を見開いた。


「「ごめーん」」


「それで、夜はこちらに?」


「そだね。

結構忙しいし、他に人がいなくなっちゃったから、大変だよ!」


「みんなメグに夢中なの!」


「マキにだよー!」


「はい、分かりました。

青木さんに聞いたところ、給与の支払いが滞りがちとか……

生活の方は?」


「最近マキは、お金がないから、友達の家を渡り歩いてる」


友達……深くは聞かないことにしよう。


「メグもお金ないから、今はお姉ちゃん家に居候してるよ」


「つまり、お二人とも、今まではどこかにお部屋を借りていたが、今はそれが出来ない状況だと?」


「そだね」


よく見ると、二人とも目の下に化粧で隠しきれないクマがあるし、肌ツヤも良くない。

栄養状態も推して知るべし、と言ったところか……。


というより何より、風紀の乱れが。

しまいには捕まるぞ。


「わかりました。ありがとうございます。

お店の準備もあると思いますので、この辺で失礼します」


「ああ!もう開店の時間じゃん!」


星のご評価頂けますと、大変励みになります。

何卒よろしくお願いします。

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