ネオンテトラと新時代 58
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そして思惑通りに【ツキテレビ】の番組公式アプリなどの事業は一か月停滞し、会員数の減少やクレームなど多くの損害を与えたと考えられる。
さらに500万の追加予算をももぎ取った。
我が部下達ながら、なんと恐ろしい事をする。
【ツキテレビ】としては、どうにかして仕返しをしたいところだろうが、こちとら四次請けである。
【ツキテレビ】とは何の関係もないのだ。
その辺の法的な仕切りは、半田さんが上手く調整してくれたらしい。
仕事の切り上げも仄めかされており、まさに狙い通り、と言う訳だ。
それで終われば良かったのだが……
どうも三次請けの【コードテックシステム】は、中堅所としてそこそこ名の知れた会社らしいのだが、その実、経営状況は【プロトコントル】に負けず劣らず青息吐息だったようだ。
二次請けからだいぶ睨まれたようで、【プロトコントル】がやっていた仕事を一部引き受けつつ発注先も探す、という無理ゲーを強いられ、まずは営業部門がパンク。
スタッフに無理を強いた影響で仕事の質が落ちて一つ大口の仕事を失い、急速に経営状況が悪化中で、【プロトコントル】に一縷の望みを掛けて、助けを求めてきたのだ。
そこまで話が大きくなってしまい青ざめたみんなは、俺に洗いざらい打ち明けることにした、と言う訳だ。
「全く……」
みんなシュンとしている。
怒られてる中学生じゃないんだから。
皿橋はあまりストレスかけちゃダメだし。
「よくやった」
「「「「「え?」」」」」
怒られるとばかり思っていたのか、みんなキョトンとしてるな。
「良い駆け引きじゃないか。
結果としてイレギュラーな事態は発生したが、ビジネスとして、なかなかよく練られている。
すごいぞ!みんな!」
「……そ、そうじゃな!!
明日香!良き策であったぞ!!」
悠華さん、乗っかるの早いなぁ……。
「怒らないの?」
珍しく殊勝な態度の妙子。
上目遣いは止めろ!破壊力がすごい。
ようしパパ頑張っちゃうぞ〜!
さぁ妙子、三人目を……って今はそんな場合じゃない。
「怒るわけないじゃないか。
みんなが考え、そして実行した作戦だろう?
良いじゃないか!
これからもどんどんやっちまえ!」
胸の空くような思いだよ。
「「「先輩……」」」
「永倉」
「は、はい!」
「期待しているぞ」
「はいぃ!!」




