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ネオンテトラと新時代 57

5-57


 「え?【プロトコントル】絡みで、【ツキテレビ】に喧嘩を売った?」


 ここは毎度お馴染み、【ブラックエンゼル】の会議室。

俺の前には、妙子、新垣、皿橋、真鍋、宮下、悠華さん、永倉が申し訳なさそうに座っている。

何の話かと思ったら、最高幹部が揃いも揃って悪だくみとは……。


「ちょっと、お灸を据えるつもりだったのじゃ」


 なんかやらかす時は、必ず悠華さんがいるな……。

もう諦めてるけどさー。


「わわ、私が発案者なんですぅ……!」


半泣きの永倉。


「何を言う!ワシがやると言ったからやったのじゃ!

明日香に責はない!」


そこで漢気を見せる必要はないのだが。

悠華さんは息をするように親分肌なのだ。


「悠華さん、もういいから詳細を」




 事の顛末はこうだ。

どうやら、とある筋、つうかメグから紫帆さんのことを聞き、また【プロトコントル】の発注元が奇しくも鷺ノ宮だと判明した事で、許せないってことになったらしい。

まあ、当然だよな。

俺も許せない。


で、絶賛【プロトコントル】の経営を圧迫している、【ツキテレビ】のYYモード公式アプリの更新やら何やらの面倒なこと全部押し付けられました、的な仕事。

これの直接の発注元である三次請けに対して、契約外の仕事が大量に含まれている、と通告し再見積もりをかけたのだ。


この時期の業務委託契約なぞ、ザルも良いとこであると言うか、【アプリ的なやつの毎月更新よろしく】くらいしか書いていない。どうとでも取れるが故に、上下関係がはっきりしている場合、発注元がとても強い。


そこに、杓子定規に詳細な再見積もりを、一週間かけて作った。弁護士を通じて書面を送る念の入れようだ。

覚えているだろうか?

【タミタミット法律事務所】の、白髪のナイスミドル半田さんだ。【タミタミット法律事務所】は【ブラックエンゼル】の顧問弁護士事務所でもある。

勝手に半田さん使うなよ……。


 弁護士から連絡の来た三次請け、【コードテックシステム】は仰天した。この時期、ビジネスにおいて弁護士が出てくることなど、滅多に無い。

エンジニア主体の会社だけに、なんだ、逮捕されるのか?と民事と刑事の区別すらつかない状況だ。

こちらの思惑通りに、予算の検討をしてくれたようだ。


 ここでのみんなの思惑としては、仕事をする以上は正しい報酬を得る、ということと、見積もりでゴネて仕事を停滞させること、そしてあわよくばどこかのタイミングで先方から仕事を切らせることだ。

さらに周り回って、【ツキテレビ】しいては鷺ノ宮に嫌がらせをしてやろう、と言うことだ。


 ちなみに【プロトコントル】には、丁度木戸さんから回された、来年の愛知万博のチケット発行システムやら何やらの仕事があったので、それを請けてもらう事とした。

【バタフライアクセス】の保守の仕事もあるし、来年いっぱいくらいは仕事に困らない筈だ。




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