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ネオンテトラと新時代 42

5-42


「私が思うに」


「お、なんでしょうか?【預言者】様」


「やめてくださいよ。

えーとですね、民営化するから何が良くなる、という点については、私も良くわかりません。

ただ、民営化する前の状態を考えた時、いわゆる甘い汁、を吸っている人がいますよね?

詳しくは知りませんが、大きいところだと発注権や融資権、各種設定利率の裁量、小さいものでも天下りやコネ採用の便宜を図ったり、それこそイチ組織の集票を取りまとめることなど、あらゆるものが利権ですから、それで美味しい思いをしている人がたくさんいます。

また、その利権を認めてあげること、後押ししてあげること、誰かに譲ること、それ自体すらも利権です」


「なかなか言いにくいことを、ズバッと仰る」


上山さんはやや苦々しい表情。

木戸さんは苦笑だ。


「はい。それでですね、大きな利権には大きな実入りが伴います。当然ですね。

それは利権を持ってる当事者にとっては、宝と言えます。

が、それを持っていない人から見れば、どうですかね?」


「まあ、羨ましいな。取って代わりたいと思うかもしれない」


「はい、当然そう思います。

民営化という、大きな変革の波が来れば、それは可能かもしれない」


「利権の奪取かね。

出来るかもしれない」


「その為に、民営化を推進したいと考える方もいるでしょう。

さらに言えば、民営化ということは、資本主義が介入しやすい、ということになります。

現在の公社が株式会社となれば、株式が発行されます。

その株式を安く手に入れて高く売ることが出来れば、大変な利益を得ることが可能です」


「まあそうだろうね。

しかしそれは市場原理が働くから、あくまでうまく行った場合のことだろう?」


「はい。建前上はそうです。

しかし、株式を売り出す前に都合することは可能ですし、膨大な株式が発行される筈ですから、見つからないように少々誰かに融通することは、難しくないのでは?」


「新たな利権が生まれるのか。

それも特大級の」


「そういう事になります」


 木戸さんが口を挟んでくる。


「ちょっと待ってください。

それじゃ民営化の是非は関係ないじゃないですか。

利権保持者の入れ替わり、そしてさらに利権そのものが増大するから利権獲得者の枠そのものが増える。

私にも甘い汁を吸わせてくださいね、みんなで甘い汁を吸おうじゃありませんか、と。

それが狙いだと?」


「はい。それは郵政利権を持っていない人、あるいはより大きな利権を持ちたい人にとっては、とても魅力的な提案です。変革の波は票田の移動にも繋がりますから、両得となる場合もありますし、利権と票田を物々交換するようなことも起こるでしょう」


 これは利権の種をチラつかせて、自分の傘下に収めようとする、あなた方や大泉総理にも言える事ですよ。

政治家の多くが利権を行動原理とする限り、何をしようが空虚なんだよ。法に触れないように使うか、法を犯しても利を得ようとするか、違いはあるが根っこは変わらない。

【新金融銀行関東】が腐敗する図式と近い。

政治に限った話ではない。


俺は崎山のハイボールを傾けながら、なるべく無表情を装った。

この国の未来は相変わらず暗いのだ。




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