ネオンテトラと新時代 40
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-2004年10月-
【シクリッド】のVIPルーム。
「やあやあどうもどうもどうも、初めまして。
上山です」
「初めまして。岸谷です」
「いや、岸谷さん。
木戸さんから話には聞いていたが御若い!
何やら【預言者】と名高いそうですね?
いやー、お会いできて光栄だ!」
「いえいえ。
私も、先日テレビで見たばかりの上山さんにお会い出来るとは、思ってもみませんでした」
皮肉だぞ。
上山 二郎太。
木戸さんと同じく【国民主権党】の衆議院議員だ。
農水族出身で、現職の経済産業大臣。
そう、つい先日、夏の参議院議員選挙の結果を踏まえた、第二次大泉改造内閣が発足し、経産大臣に再任された人である。ニュースで見た。
保守系で力強い発言をする人で、木戸さんとは仲が良い。
ゴツくて四角い強面で、ガハハと笑うザ・政治家、という印象だ。
「ハハハ。まあまあ。
上山さんは、私から岸谷さんのことを聞いて、居ても立っても居られなくなり、半ば強引にここへ来てしまったんだよ」
木戸さんは、相変わらずスマートだな。
ただなんだ、仲が良いからって、しれっと俺のことを周囲に言いふらすことはしないで欲しい。
もうVIPは間に合ってます。
ちなみに木戸さんは、先の参議院議員選挙で国主党の目標獲得議席に達しなかった、という事実に対して、党幹事長を引責辞任している。
達しなかった、とは言っても、目標51議席に対して49議席だったというだけだけどね。
それはそれでケジメとして認められたわけだけど、党内部で求心力のある木戸さんを外して統制が乱れることが懸念されたのか、幹事長代理という謎のポジションに収まっている。
そんなわけで、再任されたばかりの経産大臣がこんな所で酒なんか飲んでて良いのか?って話だ。
「まあまあそういうことなんで、今日は楽しい酒を酌み交わしましょう!」
ガバリとウィスキーのロックを煽る、上山さんであった。




