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ネオンテトラと新時代 39

5-39


 「紫帆の奴、ノリ悪いよなぁ!

わかるだろそれくらいよぉ」


「はは、全くですよね。

レギュラーに抜擢してあげたのに、何考えてるんでしょ」


木下から見ても、紫帆はノリが悪い。

お約束というものを全く理解していない。

ここは陣内に抱かれて然るべき場面でしょうに。

ついでに俺もお願い出来ませんかね。


「俺がな!

エボ川のエロ親父が自分で手を出した癖に、今更アキに纏わりつかれて面倒くさいって言うから、アキを下ろして俺が紫帆をねじ込んでやったんだ!

わかるよなぁ?

恩には報いないといけないよなぁ?」


「仰る通りです!

わかってないですよねぇ!」


「そうなんだよ、分かってねぇよなぁ、ったくよぉ!

せっかく男好きする顔と身体持ってんのに、自分の武器を使わねぇって、どういうこと?

揉み心地も良かったぜぇ?」


 鷺ノ宮は、飲み会で味見した紫帆の胸の感触を思い出していた。直にではなかったが、下着越しでもわかるハリと柔らかさ。ありゃあ、脱いだらなかなかのものだろう。

反応もウブで良い。

その辺が、アキとかと違って良い所なんだよ。


「え、ドサクサに紛れて何やってんすか。羨ましい!!

紫帆ちゃん、割と社内で人気あるんですからね。

気をつけてください」


「俺が抜擢してやったんだ。

それくらい当然だろ。

そうだ、おまえも今度やってみろよ。

意外とあいつ喜ぶぞ?」


「本当ですかぁ?

お薬の影響じゃないっすか?」


「そうだよ!薬!

おまえちゃんと薬入れたよな?

量、足りてなかったんじゃねぇの?」


「ちょっと、勘弁してくださいよ。

いつも通りの分量、キッチリやってますから」


「うーん、そっかぁ。

まあ、しゃーねぇな。そういうこともある」


 よくある事である。

いつの世も、ノリの悪い奴は一定数いる。

若いタレントなんぞ、それこそ幾らでもいるし、星の数ほど湧いてくる。煌びやかな世界に憧れる光しか見てない世間知らず。あるいは、スポットライトを浴びるためなら、何だってやる奴。

代わりは幾らでもいる。

女性アナウンサーとて、例外ではない。

多少、頭は回るのかもしれないが、鷺ノ宮から見れば全部一緒だ。テレビという甘い蜜に群がるアリだ。


 出たいんだろう?テレビ。

だったら、跪け!媚びろ!俺を喜ばせろ!

昔の上司もそうだった。

何ならもっともっと酷い。

俺は優しい方だよ全く。感謝して欲しいね。


「紫帆ちゃんどうします?

少しお休みしてましたが、今は普通に出社してます」


「ノリの悪い奴はいらねぇな。

ゴールデンからは干せ。

色々ナレ取りとかあるだろ、適当にやらしときゃいい。

そのうち心を入れ替えるかもしんねぇし」


殊勝な顔して、俺に媚び売って来るのが楽しみだ。

未来のお楽しみが一つ出来て、鷺ノ宮はニヤリとした。

今回の失態を取り戻すのは大変だぜぇ?


「そっすね。

やっときやーす。

それはそうと、タレント発掘オーディションの最終選考者が挨拶に来てますよ」


「おい木下、そういうのは早く言えよ!」


木下のケツに強めのサイドキックを喰らわせる。

さてさて、誰が俺を喜ばせてくれるのかぁ?

おじさん待ちきれないぜ。


 鷺ノ宮の脳裏に、もはや紫帆のことは1ミリも残っていなかった。波にノれない人間は、この業界じゃ生き残れない。




 「初めまして、ゼネラルプロデューサーの鷺ノ宮です!

一年後、ドームコンサートのステージ、その真ん中に立っているのは君かな?君かな?いや君かなぁ?

さあ、番組を盛り上げて、輝かしい未来のチャンスを掴んでください!!」


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