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ネオンテトラと新時代 36

5-36


 我妻 紫帆です。

部屋に帰ってお風呂に入って、一息つけました。

破れたワンピースは、もう廃棄。

お気に入りだったのに!

だんだん身体の熱さもひいていきました。

これは……薬を盛られましたかね?

なんて、なんて汚い奴ら!!


「こりゃー、干されるなー」


誰に言うでも無く、呟きます。

バラエティ班の最高権力者、鷺ノ宮さんの意向?を無視した、ということになるんでしょう。私はレギュラーを降ろされ、新人に混じってロケのドサ回りですかね。

最悪、地方局に飛ばされるかも。


「もーダメだー」




 そんなしょーもないことより!

未だに、顔の火照りが引きません。


『君、大丈夫か?』


と、声をかけてくれたのは、私より年上に見える、素敵な人でした。戸惑いを隠せない表情が、今となっては何とも恥ずかしく、そして可愛いと思ってしまいます。


そして、怯える私に、コートを


ファサッ


ですよ!

大事なことなので、もう一度言いましょう!!


ファサッ


です!

ちょっと奥さん!事件です!!

王子様は実在しました!!


 そう言えば、彼のコートをそのまま掛けて帰ってきてしまいました。なんか良いしつらえで、すごく高そう。

くんくん。

シトラス系の良い匂いがしますね。

今度返しに行きましょう。良い口実が出来ました。


 確か、高そうな腕時計もしていました。

私でも知ってます。成功者の象徴、レトリック!

イヤらしく見えない自然な着こなしが、上流感を感じさせます。多分あれは、かなりの金持ちだね。

紫帆様の目は誤魔化せないよ。


そして、


 『怖がらなくて良いから』


なんておいおい!私は小動物じゃないから!

どこかの谷の姫姉様しか言っちゃダメだろう!

カリッと噛むぞ!!

この小動物は暴れん坊だぞぅ!!!


「ハァハァ」


柄にも無く、ちょっと興奮してしまいました。


「ジュンヤ、あなたは誰なの?」


言ってみただけです。

再び顔が熱くなってきました。

やだ、呼び捨てなんて、なに舞い上がっちゃって。



 「あ、会社に連絡しなきゃ」


パンツ一丁にタオルを首から掛けたスタイルで、ガリンコ君というアイスキャンディー片手に、ガラケーをぽちぽちして上司にメール。

ジュンヤさんの言う通り、明日と明後日は休みます。

女性アナウンサーの体調不良というやつです。

ずっと働き通しだったし、バチは当たらないでしょう。

私は何の為に、こんなに必死になって働いてきたのだろう……。

はぁ……。



 「そう言えば、あの子はジュンヤさんの何なんだろう?

コズエさんだっけ。部下?恋人?……不倫相手?」


かなり可愛い子。

私より年上かな?

上品で、髪も綺麗に巻いているし、何より賢そう。

物腰から上流階級のオーラを感じました。

とても親しそうでした……。


何だかモヤモヤします。


「紫帆、あれはただの部下よ、そうに決まってる!!」


両手をグーに握りしめて、そう思い込むことにしました。



 ダイニングテーブルの上には、ジュンヤさんから貰った、謎めいた【シクリッド】のカード。


「渋谷のお店なのね……」




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