ネオンテトラと新時代 2
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-2004年8月-
宮下 芳江は、少しだけ困惑していた。
【ブラックエンゼル】の仕事は楽しかった。
元々、真鍋 佳奈に着いていくような形で入社した会社だった。
【ネオンテトラ】というサークルに入ったのも、何となくだ。先にサークルに入っていた佳奈と、すぐに仲良くなった。
進路については、特に考えていなかった。
周りの大学生の多くと同様、就職活動をして、運良く内定を貰えれば良いなぁ、という程度のものである。
部長として印象深い、花明院 楓が、迷わず【ブラックエンゼル】を選んだことが決め手となった。
仕事はサークル活動の延長線のようなもので、給与も含めて、他の会社に行ったどの同級生よりも恵まれていた。
皿橋さんや、楓先輩みたいな憧れの上司の下について働くのは、充実した日々だった。
【ネオンテトラ】時代を含め、とにかくお金のことを学んだ。お金は使うものじゃない、よりよく活用し、増やすものだ。そして、お金の為にどこまでも人は汚れていくのだと。
自分のお金の守り方も。
人生は戦いなのだと、この会社で学ばせられた。
社長はちょっと頼りないけどね。
コーヒーカップを傾けながら、芳江はふっと微笑む。
「どうかした?」
「ううん、何でもない」
さて、このテーブルの上に置かれた指輪を、どうするべきか?
目の前には、長野の高校時代から付き合っている恋人が、真剣な面持ちでこちらを見つめている。
このやり取りは、何度目だろうか。
熱血でまっすぐで、可愛い人。
喫茶店のスピーカーからは、今まさに行われている夏季オリンピックの主題歌が流れていた。
-いくつもの 日々を越えて 辿り着いた今がある-
そうね。
いい加減、結論を出さなきゃ。
積み重ねてきた日々で、二人の未来を作りたい。
アテネオリンピックでは、柔ちゃんこと谷選手や、競泳の北島選手、レスリングの浜口選手など、多くのスター選手が活躍しました。




