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105/200

ネオンテトラは勇躍す 17

4-17


-2003年5月-


-京都-

町家①

 河原町から東山付近に、五軒の町家は点在していた。

花明院が吟味して選んでくれただけに、状態が良く、京都の中心に近い場所にあった。


「うむ、なんとも風流だな!」


「ほんと、素敵なところね!ウフフ!」


そのうちの一軒に、俺と妙子は来ていた。

ちなみに凛子は、ゆかりさんに預けてきた。

親がいなくても、ニコニコしている図太い子なので、実に安心出来る。


「ここはウチが思うに、一番ええところや。

この柱の趣が、他とは違うんよ!」


と言って柱に頬ずりしているのは、奏蔵兄妹の妹の方、小梅だ。

やや吊り目で黒髪ボブショート。

純和風な趣の中に、薄く茶色い瞳がミステリアスである。

草色の雲取花柄の二部式着物に、藍の前掛け。

高級旅館の仲居さん、といったところか。

所作の美しい小梅が着ると、実に雅である。


「うん、それはわかったから、中を案内してくれ」


「ほな、付いてきて」


町屋とは、間口は狭いが、奥行きが驚くほど深い、昔の日本家屋である。うなぎの寝床、などと呼ばれる。


「この辺りがリビングや。

キッチンはこっち、向こうが応接間になってます。

ここが奥庭。んで、二階は二部屋あって、寝室になってます。二階からは、通りも見物出来ますよって」


原形の遺構は残しつつも、キングサイズのベッドや、システムキッチン、洋式トイレなど、最新のリフォームがなされていて、和風でありながら、とてもラグジュアリーな空間になっている。


「いやー、すごいな」


としか言えない。


「そうやろ?

楓ちゃんが、えらい気合いを入れて監督しとったからなぁ。

もちろんウチも手伝いましたよ?

はよう、見せたかったんや」


花明院家の雅なセンスは、流石である。


「もちろん、他の家も負けず劣らずええ感じになっとりますよ?」


「うん、これなら、海外のお客さんも、きっと喜んでくれるんじゃないかな」


「そうね!

トニーさんの一家がどんな顔するのか、楽しみ!」


【Jettmax】のCEO、トニーさんは、妙子が声をかけたところ、二つ返事で予約してくれたのだ。

奥さんと子供二人と、今月末に一週間ほど滞在するとのことだ。


「気が早いなぁ。

まずは泊まってもらって、満足できるか試してみて」


「ああ。小梅ちゃん、ありがとう」


「こそばゆいわぁ。

使用人なんやから、小梅と呼んでもろてええよ?」


「使用人て。

小梅ちゃんは、【花蓮峡】に、なくてはならない人だよ」


「フフフ、お上手やなぁ。

その手管で、奥様も籠絡されたんかなぁ?」


「そうかもしれないわね?」


「おいおい」


なんか怖い顔してたよね?今。

妙子の目が怖かったんですけど!


「では、邪魔者はそろそろ退散させてもらいます。

玄関の電話で、いつでも【花蓮峡】に繋がりますんで、御用の際は、気兼ねなく電話して下さいね」


「わかった」



 ちなみに、他の家には、【皿橋/新垣】、【花明院/二戸/真鍋/宮下】、【最上/雪村/大迫】、そして【マキ/メグ/悠華/ソフィー】という組み合わせになっている。


おいおい、宴会トリオはどこから湧いて出てきたんだ?

呼んでないんだけどっ!!


俺は今夜の宴会でスパークするであろう面々を思い浮かべて、頭痛がしてくるのだった。





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