表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/200

ネオンテトラは始動する 1

初投稿です。


諸々拙い部分もごさいますが、どうか生暖かく見守っていただけると幸いです。


-1994年4月-


「ファイナンス&インベストメント同好会【ネオンテトラ】に入りませんか〜?」


横浜の、とある山を切り拓いて出来たその名も【山野辺大学】。


新入生に向けたサークル勧誘が、盛んに行われている。


歴史は古いが一流に二歩ほど届かないクラスの私立大学である。

ミッション系で多少オシャレ感が漂う関係から、両家の子女や小金持ちに人気がある。



 俺は岸谷きしたに 順也じゅんや

国際交流学部 国際経営学科 3年だ。

今年度から新設された、F&I同好会の会長をしている。



「岸谷先輩!

結構反応良いですよ!」


チラシ配りをしていた、文学部 英語文学科 2年の皿橋さらはし 直美なおみが、息を弾ませた。

ショートソバージュの茶髪でタレ目の、良い後輩である。

テンパりやすいのが玉に瑕だ。



反応は悪くないか。

そりゃそうだろうな。

人を集める為に、奮発したんだから。


年二回の合宿は伊豆と千葉の一流ホテル。

新歓コンパはイタリアンレストランを貸し切り。

そしてなんと全員タダ。


サークルなんて、体育会系を除けばどこも似たり寄ったりだ。


後年のイベサーの走りである、テニス系サークルなんかは、ヤリモクサークルが紛れ込んでいるふしがあるのだが、その他は、割と和やかに放課後の交流を楽しむ集まりでしかないのだ。


オシャレなお店でタダ飯を食えて、タダで旅行出来る特典付きなら、食いつきも良いだろう。

これを嘘じゃないかと疑わない辺り、この時代の大学生の危機意識の無さが窺える。嘘じゃないけどさ。

明らかにチャラいサークルに、人が集まるのも致し方ないか。


いや、それは現代でも変わらないか……。

まあいいや。


ちなみに、大学から出る補助金なんて、5万程度のもので何の意味もなく、このサークルの費用は全て、俺のポケットマネーから出ている。


「何人くらい集まりそう?」


会長らしく、ちょっと様子を見にきただけの俺だ。


「この感じだと、10人くらいはイケるんじゃないですかね?」


「悪くないな」


「すごいですよ!

新しいサークルで人が集まるか、超不安だったんですから!」


ま、俺も不安だった。


素直で感情が全部顔に出る皿橋、こいつが、ファイナンス&インベストメント同好会「ネオンテトラ」の代表である。



この時代、資産運用の概念自体、ほとんどない。

長閑に草を喰む家畜よろしく、庶民は知識を与えられていないのだ。


ともあれ、このサークル設立は、未来への布石だ。




二度目の人生を歩む、この俺の。

この頃の大学は、かなり、自由だったようです。

大学自治というやつですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ