第十七話
……数日後
「さてさてぇ……今日みんなに集まってもらったのは、話があるからだ」
沙紀「だろうね~」
海翔「城壁修復の仕事がまだ残ってるから早くしてくれぇい」
小柳「はっやっく、はやっく!」
稲盛「ここでなんか言ったら俺殴られるよな? 『ベシッ!』なんで!?」
亮太「一時間後にアーザレイルとの会議があるから~、よろしく~」
「……えー、最近ここ襲撃されたじゃん? 俺達がいなかったけど」
「ん、建国に行ってるとき」
「ああ、お前らがいねー状態で守り切ったあれだな。それがどうした?」
「エレクテレス内の成分分析、および発生源を調べると、ちょっとおかしかったんだ」
「おかしい? ってどういうこと?」
おい沙紀。そこで澪に視線を送るんじゃない。いや、確かに全部澪がやったけども。そうだけども。今話してるのは俺だから。うん。
そして、視線に気づいた澪が口を開く。
「ん、世界中のエレクテレス内の成分濃度は、皆等しい。名前のついていない成分含め、全部同じになるはず。でも、沙紀たちが倒して集めたエレクテレス純度は約2%。五十個集めて成分を抽出してようやくエレクテレス一つと同じになる」
「はーい、せんせぇ。言ってる意味わかんねえです! あい!」
「つまり……あいつらは偽物ということ。一つのエレクテレスを五十個に分解。それら一つ一つを媒体として新たな堕者を作った……っていうのが私と悠の考え」
「えっ。つまり、この国を狙ってる人がいるってことぉ!?」
「人っていうか国じゃねえか? 個人でそんなことできるか?」
「そうだな。海翔も言う通り、俺たちもそう思う。おそらくどこかの国。それも、東北のほうの国だってな」
「? なんでそんなこと分かるの?」
「ああ、堕者の襲撃時間の差、侵攻方向から考えて、東北の方から降りてきてると思うんだ。ま、それも説だから、実際のところは知らんけどな」
「なるほど……」
端的に言うと、この国は別の国から侵攻を受けているかもしれないということだ。
あくまで可能性。無ければそれでいい。だからこそ、あった時が怖い。
今現在この国の戦力は俺と六皇だけ。みんな遺伝子確立していないのだ。自分からあんな地獄を味わなくていいし、そもそも血成の数が少ない。一か月に一個作れるかどうかだ。
アーザレイルはそもそも在庫があったようだけど。
その後軽く話し合いをし、堕者や人間の侵攻を視認した場合、即座に俺に連絡するということになった。
この国の最終決定権は俺にある。なので、迎撃も侵攻も全て俺が決定できる。
……侵攻とかする気は無いけどな。
そういうことで話し合いは終了。解散し、皆仕事へ戻る。
海翔は城壁の完全修復がもうすぐだと伸びをし、亮太も会議へ向かった。
あ、そうそう。最近(亮太が)使ってたフェラーリを澪が魔改造したんだよ。
1,エンジン機構を、小型のゼネライトを搭載することで無限に走れるようにした。
2,さらにそのエネルギーを圧縮・開放して爆発的な加速を得るようになった。
3,ゼネライト(※七話参照)派生、超高密度エネルギー発生機『バルゼブライド』により、結界を張れるようになった。(超高密度のエネルギーにより、多少の攻撃を防ぐことが可能)
4,多少の武装を搭載しているので、反撃も可能。
……いやー、さすが澪さんっすね。天才っす。こんな細い車のどこにそんなに積んでんだか。最近は発明を趣味にしてる気がする。
ああ、そうそう。最近は亮太に運転を教えてもらってるんだよ。この魔改造フェラーリ使いたい! ってなったから。簡単な道なら走れるようになった。
暇な時間にでも練習するか。最近体鈍ってるから堕者でも狩るか。
……チッ。俺、仕事まだ一割も消化してないんだった……
第一章終わりです。来週、閑話を投稿します。
第二章は七月頭、二時あたりに投稿します。




