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「このような格好で失礼します。」
ユナ達が部屋に入るとシンラがイスから立ち上がり頭を下げた。
ヤンナとシンラは協会の正装なのか青色のラインの入った白いローブを纏っているが、そのローブは所々黒ずみヤンナとシンラ自身も頬に傷が出来ていたり髪の毛の一部が乱れていたりする。
「何かに襲撃でもされたの?」
「いえ…これはヤンナ姉さんのせいなので気にしないで下さい。」
「ちょっと大物狩ろうとしただけだ。」
「狩り?!ひと言も無くいきなり斬りかかるのは狩りじゃなくて襲撃だからっ!!」
シンラはヤンナを威圧しながら怒りの炎を燃やすがヤンナはまったく気にした様子はない。
ハルバードがシンラを宥めユナとバーンが着席してもシンラはヤンナをにらんでいた。
「ほら、シンラとりあえず座って。話を聞かせてくれる?」
「失礼しました。まずは大司教様からの手紙をお預かりしましたのでお納め下さい。」
「この場で確認しても?」
ユナは白い封筒の封を破り手紙を取り出すと内容を確認した。
沈黙の中、手紙を読み終えたユナは視線をシンラに移す。
「大司教様は今どちらに?」
「本部から出る事は叶わない…とだけ。」
「何もせずにここに来たの?」
「大司教様がそれをお望みだったので。」
「……なるほど。」
それっきり口を閉じたユナは考え込んだ様子で、蚊帳の外になっているバーンはムスッとしながらシンラをみる。
「きちんと俺にも説明してくれ。」
バーンの抗議を無視するシンラに代わりヤンナがやれやれと説明役を買ってでる。
「つまりはだな、大司教様は今、協会本部に閉じ込められてんだよ。ウケるだろ?」
「…は?何でだ?」
「ガラガ王国に派遣されてる奴が癒着してる事話したら派手に動いちまってな。都合が悪い奴らが意外に多くて大司教様が乱心したとか適当な理由で閉じ込めてんの。」
「困ったトップね。もう少し頭を使ってくれても良いのに。」
手紙には幽閉されてしまった事と癒着がわかっていれば気にせず拘束して構わない事とヤンナとシンラはこき使って良いと書かれていた。
ユナとしては予定通り進められそうだが、流石に大司教が幽閉されているのを無視するのはバツが悪い。
仕方がないので協会と縁の深そうなイエニスタに相談する事にした。




