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ユナとユンギが海中遊覧やお茶会を満喫し、バーンとヴィルーヴの精神がゴリゴリ削られてきた頃、ユナの元にようやくハルバードからの連絡がきた。
イエニスタから裏切りは心配ないとお墨付きをもらったのでユンギとヴィルーヴにイヤーカフの事を隠すのはやめたユナは、茶会中だが普通にハルバードと会話を始めた。
「大変ご迷惑をお掛けしております。問題は全て解決しました。」
「四日で解決するなんて早かったわね。」
「それはもう国の恥…経済にも大きな影響を及ぼしましたので。」
ハルバードの報告内容は封鎖は昨日中に解除された事、シナガトリもといチビライダーは城に強制送還の上謹慎処分となった事の二点だった。
「本来ならば処刑されてもおかしくないのですが、利用しようとした者全てが割れていない事と年齢を考え更生の機会を与えられる事になりました。」
「もう関わって来ないなら問題ないわ。」
ハルバードとの話を終えて皆に問題が解決した事を伝えるとユンギとイエニスタの反応は薄かったがバーンとヴィルーヴは大いに喜んだ。
「では、もう行ってしまうのですか?」
「今、目的地のひとつにいるので…そんな急ぐこともないし…。」
「ユナ、確か遺跡に行きたいって言ってたよな!」
「そうのですか?」
「はい。ドーラに会いに行こうと思って。」
「ああ、それならここで待っていた方が良いですね。今丁度ドリーがドーラに会いに行ってるのですよ。連れて戻ってくると思うので行き違いになってしまうかもしれません。」
「「「ドリー…?」」」
「ドリーは師匠のパートナーでドーラのお母様ね。師匠、まだ暫くお世話になります。」
バーンとヴィルーヴは脱出の機会を逃し落胆した。
その後、割と早くドーラとドリーが到着し皆で出迎えた。
「あれ?なんかたくさんいる。」
「なんと、人間が二人も!侵略かしら。消し炭にしましょうか。」
まさかドラゴンが来ると思っていなかったヴィルーヴが真っ青になりながら攻撃態勢を取ったが、バーンが制しきちんと説明をして事なきを得た。
もちろんドーラとドリーにもユナとイエニスタが説明し納得してもらうがドリーは暫くバーンとヴィルーヴに疑いの目を向けていた。
「ほらほら、小型化してお茶にしましょう。」
「わーい!ケーキ食べたい!!」
「そうね…とりあえず小さくなりましょう。」
小型化し体長六十センチ程に縮んだドーラとドリーは低空飛行で最後尾についた。
ヴィルーヴはチラチラと後ろを警戒しながら胃をキリキリ痛め、出されたケーキはドーラに譲った。




