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~ドラゴンの花嫁~


ある国の王様は悩んでいました。

産まれたばかりのお姫様がたくさんの物を壊し、世話をする人も怪我をさせてしまうのです。


王様は仕方なくお姫様に乳母だけつけて塔で育てる事にしました。

お姫様は健やかに成長していきますが塔から出ず、毎日本を読むか塔の窓から外を眺めるだけ。


ところがある日、一匹のドラゴンが窓から入ってきました。


「こんにちわ、ドラゴンさん。貴方は私を食べにきたの?」


「違うよ。いつも寂しそうに外をみてる君が気になったんだよ。」


ドラゴンとお姫様は楽しくお話してドラゴンはお姫様をとてもとても気に入ってしまいました。


「僕、君が好きになっちゃった。僕のお嫁さんになってよ。ここから出て色んなもの見に行こう。」


ドラゴンはお姫様を背中に乗せると大空を飛んでいきました。

お姫様は塔に戻る事無く、ドラゴンに花嫁に迎えられて楽しく暮らしましたとさ。


―――――――――――――――――――――


「これのどこに魔女が出てくるんだ?」


「まずこの話の元の国はもう滅んでいますが、記録は残っています。

姫様は大変膨大な魔力を持って産まれ、赤子故に制御できず塔に幽閉されました。


制御できれば大きな戦力なので教育は厳しくされたそうです。

成人間近には魔獣の討伐などもされ、ドラゴン狩りをさせようとしてドラゴンに連れ去られます。


そして数ヶ月後、姫様の手で王家と数家の貴族を滅ぼされたと記録されています。滅ぼした家の壁に“懺悔なさい”と血文字で書かれていたと記録があり、そこからその二つ名がついたとされています。

この王国が滅んだ理由は不明ですが、跡地は現在の協会の本部になっていて…。」


バーンはヴィルーヴの話を聞いてからイエニスタを二度見したが変わらずニコニコしている。

ユナはもちろん知っていたので今更反応もなく、ユンギはボーッとイエニスタを見ているのみだ。


「とてもお詳しいですね。」


「職業柄です。しかし、ご存命とは存じ上げませんでした。」


「女性に年齢の話は失礼よ。」


「ふふふ。これでもドラゴンの花嫁、ですから。」


イエニスタはニコニコとしているがヴィルーヴの背筋には冷たいものが走った。まるで虎の尾、ドラゴンの尾を踏んでしまったかの様な感覚に額には自然と冷や汗が浮ぶ。


「ヴィルーヴさん!師匠を独占するのはここまでにしてっ!私にも積もる話がたくさんあるの。」


パンッ!と手を叩き話を切ったユナがイエニスタに抱きつくと、イエニスタは嬉しそうにユナの頭を撫でた。

ヴィルーヴはこっそり息を吐き謝罪をすると二人でカフェでケーキでも食べてきてはどうかと提案する。


「私、人間の街ってあまり好きではなくて…なので、宿を引き払って皆さんで私の家に来ませんか?」


「皆で行って迷惑じゃないですか?」


「ふふふ。気にしなくて大丈夫ですよ。」

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