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水晶が次に映し出したのは庭で開かれたお茶会だった。

清楚ながらも華やかなアフタヌーンドレスに身を包んだ女性達、その中に皆から少し距離を置かれた王妃が見える。


「本日も煌びやかな装いで思わず目眩がしていまいそうですわ。」

(夜会でも無いのに派手なドレスを着て常識の無い。)


「王妃様は私共には思いもよらない装いで楽しませて下さり、庭に咲く薔薇も霞んでしまいますわね。」

(けばけばしい装いですこと。この場には相応しくない事が分からないのかしら。)


王妃にも関わらず言葉の裏を読む事が不得手な王妃は褒められていると勘違いしている。


「ふふふ。気分が良いわ。」


するとまだ幼い少年が王妃を見てゲラゲラ笑い始めた。

皆が顔色を無くし少年の親は慌てて少年を引っ張り下がろうとするが、それは王妃の目に留まる。


「お待ちなさい。その子供は何がそんなに可笑しいのかしら。」


「申し訳ございません。この子は今、世界の全てが可笑しい時期なのです。転んでもカトラリーを落としても笑っております。」


「そう……では首を切られても笑っているのかしら?」


王妃はその親子を兵に拘束させ地下に連れていくよう指示すると、周りが凍りつくのを気にせず優雅にティーカップを持った。




次に映し出された夜会では、全身ゴテゴテの品の無い装いと顔の良い若者ばかりと踊るその姿に他国の者までヒソヒソと眉をひそめていたが王妃は気が付かない。

王は王妃を無視して他国の使者達と話をしていたがここでまた騒ぎが起きる。


王が話を中断し近寄ると、中心では王妃が怒りの声を上げていた。


「お前、この私の誘いを断ると申したか?!」


「わ、私には愛する妻がおります。どうかご容赦下さい…。」


王妃は鉄扇に隠した小刀で誘いを断った美青年の左顔半分を切り付けた。


「あなた!!」


近くにいた美青年の妻が駆け寄り顔にハンカチをあてる。


「衛兵、王妃を別室にて監視せよ。この者達は手当てを。」


王は当事者達をホールから出すと仕切り直し夜会の続行を告げ王妃の元に向かった。



「やってくれたな……。」


「あなた…私は悪くないわ!あの男が!!」


「他国の者がいる場でのこの醜態は許されん。日頃からお前の暴挙は聞いていた…もう自由に動けると思うな。」


その日以降、王妃は身体を壊したと城の側にある塔に幽閉され、鳥の目には痩せて醜くなっていく王妃が映る。



ユナはその映像を見終わると呆れたようにため息をついた。


「……私、勘違いをしていたのね。王妃の差し金かと思っていたのに。」


「殿下を殺そうとしたのは王妃様では無くレイバン様ですよ。王妃様の幽閉が貴女のせいだと逆恨みされてます。」


「ぇぇ…私やっぱり貰われできたんじゃ…。」


「残念ながら血は繋がっております。さ、まだまだありますがどうされますか。」


「先に次の街行きましょう。野宿になってしまうわ。」


「俺は続きをみたいけどな。」


「…バーン、あなた他人事だと思って…。」

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