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「さ…寒い…。」
「死ぬ…。」
半分氷に埋まったバーンとヴィルーヴは唇を紫色にして小刻みに震えている。
一度氷に埋めたユナだったが流石に直ぐに半分溶かした。最初は雷の影響もあり失神していた二人は目覚めるとその寒さに震え、何故こんな事になっているのか理解出来ないでいた。
「ヴィルーヴさん。私の勝ちで宜しいでしょうか。」
「か…勝ち…?こここコレはでで殿下が?」
「ええ。私の魔法ですよ。あ、流石に辛いと思いますので隣にお風呂を用意しました。敗北を認めて従ってもらえるなら直ぐにあの中に入れますよ。」
隣の天国を一瞥するとヴィルーヴは何度もコクコクと頷く。
「あ、でも油断させて不意打ちとか。」
「ししししないっ!そそんな事は考ええてないから早くっ!!」
「わかりました。」
ユナは氷の下の地面を少し陥没させると隣につくった風呂と繋げ湯を流した。氷の影響で湯が温くなり湯気が消える。
「湯が!命の風呂が!!」
「ゆゆゆユナ!こ、氷!」
「はいはい順番があるからね。」
氷を溶かし湯の温度をあげると震えていたバーンとヴィルーヴは「はぁ…」と息を吐いた。
「落ち着きました?」
「てか何で俺まで!」
「ん~ついでかな。」
身体が温まったのを見計らい風呂からバーンとヴィルーヴを出すとユナが服を乾かし地面に向かい合って座る。
「では改めて、ヴィルーヴさんこれから宜しくお願いします。」
「あ~殿下、非常に言い難い事が一つ。」
ヴィルーヴは左中指にはまる指輪を見せるとエヘッと出来るだけ可愛くみえるように笑顔をつくった。
「主従の指輪…最初から私を騙そうと?」
「いやいやいや。この指輪、主従の指輪じゃないんですよ。よく似ていますがコレは死神の瞳という指輪です。」
ユナが指輪を鑑定すると確かに死神の瞳と鑑定結果が出る。主従の指輪に似ているがよく見ると死神の瞳は石の形が少しだけ丸い気がする。
「この指輪、裏切り防止の為に付けさせられるんです。一日の最後にする誓いに嘘があれば即命が奪われます。もちろんしなくても死にますが。」
「それは初めて聞いたわね。」
「ちなみにどんな誓いをするんだ?」
「貴方は馬鹿ですか。死ぬかもしれないのに口にできないでしょう。」
「確かに。」
ユナは少し考え込み収納から一冊の本を取り出した。
そのタイトルは【世界最悪のアクセサリー百科】




