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バーンは考えたがヴィルーヴを仲間に出来る方法が浮かばない。
ヴィルーヴの目は早くかかって来いと言っている。バーンはキッパリ諦めた。
「アレは無理だ。という事で、ユナすまん。」
バーンは急降下してヴィルーヴに剣を振り下ろした。それをギリギリのところで避けたヴィルーヴはとても嬉しいそうに腰に巻いていた蛇腹剣を引き抜いた。
「仕切り直しといきましょう。」
まるで遊戯でもしているかのように楽しそうに剣を交える二人にユナはため息をついた。
「ユンギ、これどう思う?」
「…シンラお姉ちゃんが良く言ってる。男は馬鹿ばっかりって。」
ユナはその言葉に某国の王子と某王国の王族が思い浮かび、妙に納得してしまった。それと同時にシンラの苦労に同情と親近感を持ってしまい、機会があったら話をしたいなと心に留めた。
「どうしようかな…。何だか襲われてる感はもう無いけど無闇に割って入るのは危険そう。…ユンギ、ちょっと力貸して貰える?」
ユナがコソコソとユンギに話をするとユンギはコクコクと頷き「分かった。」と了承した。
「ほらほら。さっきの魔法は使わないのですか?」
「お望み通り使いたいところなんだけど、なっ!」
バーンはヴィルーヴに押されながらも機会を伺っていた。ヴィルーヴは王族お抱えの裏部隊だけあって人と戦い慣れており魔物中心のバーンは苦戦している。先程からバーン炎龍や滅を使おうとするとタイミング良く暗器で攻撃され阻止される。
そこに空の上からユナがヴィルーヴ話かけた。
「ねぇヴィルーヴさん、貴方の世界は力こそ全てでしょ?」
「ええ、そうですね。それがどうされたんですか。」
「私がヴィルーヴさんを倒したら、貴方は私に従っくれるんですか?」
「ふふっ。殿下は冗談がお上手だ。そうですね…そんな事があるならば殿下の下僕となりましょう。」
ユナと会話しながらもヴィルーヴはバーンに攻め入る手を休めない。言質をとったユナはニヤリと笑う。
「二言は無しですよ。」
その瞬間、青空であるにも関わらず雨がバーンとヴィルーヴを濡らした。不可解に思いながらも二人は戦いをやめない。
「今日の天気は概ね晴れますが、所により雨や雷がふるでしょう。」
「「雨…雷?」」
次の瞬間、閃光が地面に落下しバーンとヴィルーヴは激しい痛みと痺れる感覚に身体が支配された。
「もし、その身にそれ等が降り掛かったなら寒さにもお気をつけ下さい。」
痺れて倒れたバーンとヴィルーヴの周りに空から氷の壁が降り周りを隙間なく囲む。そこに大量の水が流し込まれ瞬時に凍らせれば。
「氷のオブジェの完成です。」
ユナは地上に降りてそれを満足そうに眺める。
「あまり放置すると死んじゃう。」




