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「…ご飯持ってきた。」


「おう。毎回思うがあいつらの分とか要らないだろ?」


「引き取られた後の印象が悪いって巫女様が…」


見張りは仕方なく自分の分の朝食のみをユンギから受け取って食べ始めた。

ユンギは牢の前にパンと温かいスープの入ったコップを二つずつ並べて何も言わずに去っていった。


「普通地面にパン置くか?」


「…そうね。」


冒険者として食事の機会を無駄には出来ないのでバーンは文句を言いながらもパンを手に取る。すると、ユナは見張りに聞こえないようにバーンの耳元でボソッと囁いた。


「そのパン薬が混ぜられてる。」


パンをちぎって食べようとしていたバーンは手を止めてパンを見つめる。見た目からは何も分からずユナに視線を向けると、ユナはバーンのパンに手をかざし収納する。

代わりに収納から同じような見た目のパンを出しバーンに手渡すと自分の分のパンも同じように入れ替えた。


「スープは…」


「美味しくいただきましょう。」


朝食を食べ終わって暫くすると、馬の足音と鳴き声が響いた。

見張りが「早いな」と呟いたのでユナとバーンは警戒を強める。少しして牢の方にでっぷりとした身なりの良い男が老婆とユンギを従えて歩いてきた。


「なんだオトコもいるのか?ん~まぁ見た目はいいか。」


「殺すには惜しいと思いましてな。」


「女の方は顔はまあまあだが楽しめそうだな。」


「明日の予定でしたからな。まだ簡単にしか汚れは落としてませんぞ。」


老婆との会話から目の前の男が恵みをくださる神とやらで間違いが無いと判断できる。ユンギには大人しく従っているようにと言われていたが、男が一日早く来ているので準備が整っているのか怪しい。

ユナがバーンを見ると暴れる気満々といった顔をしていた。

しかし、次に目を向けたユンギは首を横に振り大人しくしていろと伝えてくる。


悩んだ末にユナはバーンに大人しくしていようと言う意味を込めて首を横に振った。バーンは不服そうな顔をしていたが、ユンギ達の作戦が失敗してから大暴れすれば良い事なのでそんなのは無視した。


「病気をもらっても面倒だしな。仕方がない我慢するか。」


男の失礼な言い様にユナはすぐさまファイヤーボールをぶち込んでやろうかと殺気立ったがバーンがまるで暴れ馬を宥めるかのようにユナを宥める。


「品定めはここまでに、後はお恵みの確認がしたい。」


「そうだな。馬車で話すか。」


「ユンギ、いつもみたいに綺麗に磨いておくんだ。」


「はい。」

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