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依頼達成の報告も終わったのでここに留まる理由は無い。


「遺跡と海がみたいから西の方に行きたいな。ここから少し遠いけど丁度いい道のりだと思うの。」


ユナは地図を広げるとバーンに見せ指を指しながら説明をしていく。バーンとしてもここから離れた方が良いと思っていたので賛成した。


「街で買い足す物が無ければこのまま出発するけどどうする?」


「馬を返してこなくちゃいけないし買い物したいから一度街行って戻ってくるわ。欲しいものあったら買ってくる。」


「ん~特に無いかな。」


バーンが街に行きユナは本を読みながら待ったが今度は何事も無い内にバーンが戻ってきた。戻ってきたバーンの手には一足のブーツがあり、それを嬉しそうにユナに差し出すと万遍の笑みを浮かべる。


「はいっ!」


「靴?」


「靴を用意すれば空飛ぶ靴つくるって言ってたよな!」


全く忘れていたユナだったがキラキラ瞳を輝かせたバーンからブーツを受け取り「任せといて!」と笑顔を返した。

今はこの場を離れる事が最優先事項なのでブーツを収納にしまうとユナとバーンは歩き出した。


「暫く戻らないし依頼は受けなかったけど、常時買取りしてくれる素材や持ち込むと良い防具や武器作ってくれる素材は積極的にとっていこう。」


「なんで今まではそうしなかったの?」


「ユナはまだ初心者だろ?依頼を受ける事に慣れていないのにそんな事まで注意してたら集中力もってかれる。薬草とかは探索にかからないだろ?」


「…確かに。」


流石高ランク冒険者と素直に感心するユナは周りに目を向けながらバーンについて行く。そんなユナにバーンは苦笑いしながら「そんな注意してたら疲れるぞ。」と眉間をついて肩の力を抜くように言った。


暫く歩き本日の野営地を決めるとユナは風呂をつくりバーンが食料を狩りに行く。食事を終えるとユナはバーンから預かったブーツを取り出し早速付与にかかり、バーンはソワソワしながらそれを見守る。


「……ちょっと見すぎ。」


「だって俺もついに空を飛べるんだぜ?興奮しない訳が無い!!」


バーンの視線は変わらずユナの手元に注がれ、諦めて作業する事数十分。完成したブーツをバーンに手渡すと小躍りして喜んだ。


「ユナからのプレゼント大切に使うわ!!」


「元の靴はバーンの買ったものだけどね。」


バーンは今まで履いていた少しボロボロの靴を脱ぎ、早速ブーツを履いて地を蹴った。すると予想していた緩やかな上昇では無く、物凄いスピードで上空に打ち上げられる。それは飛んだと言うよりは発射台から勢い良く投げられたようなスピード感だった。


「説明ちゃんと聞かないから~」


打ち上げられたバーンを見上げながらユナはバーンが戻って来られるか心配する様子もなく別の付与をする事にした。


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