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バーンに連絡を入れたユナは木の上でどうするか悩んだ。

バーンからは戻るまでバレるような行動はしない様にと言われているが、流石に襲われている人物を見殺しにはできない。例えそれが縁の薄くて好感度マイナスの実の兄であってもだ。


「ん~私の剣の腕じゃまだ一匹が精一杯だけど…アレは二匹どころか一匹でも無理そうだよね~。」


完全に腰の引けて震える実兄に呆れた視線を向けるユナが木の上でどうしたものかと考えていると、唸り声をあげて距離を置いていた魔獣の内二匹が走り出す。

仕方が無いのでユナは木から飛び降り、そのまま剣を抜いて走り出さなかった魔獣の額に剣を刺した。


「まずは一匹…」


走り出した二匹は後ろで仲間が殺られても気にした様子はなく一斉に獲物に飛びかかった。


「うっうわぁぁぁ」


情けない声をあげて座り込む実兄に「あなた剣習ってましたよね?!」とツッコミたい気持ちをグッと抑えて「剣を振り回して!」と叫んだ。

実兄は目を瞑って「わぁぁぁ」と叫びながら剣を振り回し、魔獣は剣先が届かない場所に着地する。その瞬間を狙ってユナは距離が近い右側の魔獣に斬りかかった。


「ヒッ!うわぁぁぁ」


実兄は足を縺れさせながら街の方へ無様に走り去り、魔獣はそれを追わなかった。


「うわぁ……ホントに無いわぁ…」


ユナとしては実兄が居なくなった事で魔法を使う事ができるので有難いが普通に最低の行為だ。

ユナの剣を避けた魔獣はもう一匹の近くに跳び退いたのでユナは蔓で二匹まとめて拘束する。蔓を引きちぎろうと抵抗するがその前にユナが心臓に剣を突き刺しトドメをさした。


「ふぅ……」


一息ついて蔓を消すとイヤーカフを操作してバーンに連絡をとる。馬で飛ばしてきたバーンは既に近くまで来ていたようで案外直ぐに到着し、早々に「無茶するなよ!」と怒鳴られた。


「不可抗力だと思うんだけどな…」


「やっぱりユナを一人にするべきじゃなかった。そいや~途中で身なりの良い金髪の男を見かけたけどアレがユナの兄貴か?」


「おそらく?」


どうやらきちんと街に戻った実兄が迷惑をかけないようにユナがイヤーカフを操作してハルバートに呼びかけると居なくなって捜索していたので助かったと感謝された。


「捜索隊なのに捜索されるって…」


「ユナの兄貴ってアホなの?」


「……否定ができない。」


とりあえず目の前の魔獣を収納してユナとバーンはユナが待機していた場所に移動した。

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