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取り敢えずハルバートの報告の件は後回しにしてユナとバーンは翌日に備えて早めに休んだ。

翌朝、準備万端で洞窟に入ると入口付近には何もおらず順調に進んでいく。

入口から少し離れ辺りが暗くなってきたのでバーンが松明をつける。すると、天井にびっしり洞窟オオコウモリがぶら下がっていた。


「ヒッ」


「しっ!静かにしていれば何もされない。」


ユナは両手で口を塞ぎ何とか騒がないように努めた。2m近いコウモリが天井にびっしりいたら大抵の女性は叫び声を上げながら腰を抜かすだろうが、ユナは何とか耐えた。

その後も後ろからストーンシャークが襲ってきたのをバーンに助けられたりアイスホライモリに二人揃って氷漬けにされそうになりながらも何とか奥まで進み、ついにフワモコロンの巣らしき物を発見した。


「やっと……洞窟からでられる…」


「そうだな…巣に羽が落ちてれば、だけどな。」


フワモコロンはどうやら留守のようで姿はみえない。ユナはフワモコロンの巣に近づき中を覗き込んだ。

すると、スカイブルーの美しい羽が三枚落ちておりユナはそれを回収した。


「バーン、三枚しかないよ。」


「マジか……つまりフワモコロンが戻るまで居なきゃいけないのか…。」


肩を落とすバーンにユナも苦笑いを返し巣から離れようと一歩後ろに下がったその時、バーンが「屈め!!」と叫んだ。

ユナは咄嗟にその言葉に従い屈むと、さっきまで頭があった場所でガキンッと音が響く。ユナはが上に視線を向けると、ビッグゲジーの頭がソコにあった。


真っ青な顔をして恐怖で動けなくなったユナを助ける為にバーンは剣を抜いてビッグゲジーとの距離を詰めた。


「しっかりしろっ!喰われるぞ!!」


「わ、わかってるけど…足に力が入らないの!!」


「だったら得意の結界でも張ってろ!」


バーンの言葉で自分が結界を張れる事を思い出したユナはすぐに結界を展開した。そのおかげでビッグゲジーが口を開きユナに襲いかかっても結界に阻まれ身体は無事だ。

しかしユナの精神はゴリゴリ削られ涙目でその光景をながめている。


バーンはすぐにユナを助け出したい気持ちは大きいが、ビッグゲジーが後方についている毒針でバーンの接近を阻んでいる為なかなか近づけない。


「ユナ!剣でも魔法でも良いからそいつにダメージを与えられないか。」


「うぇ?!剣は無理~!魔法って何が効くんだっけ?!」


「炎とかか?」


「こんなとこで使ったら一緒にご臨終よ!!」


ユナは取り敢えずビッグゲジーを凍らせてみた。しかしビッグゲジーは凍らないようで今度は蔓を出して拘束しようと試みる。

蔓はビッグゲジーに巻き付くが、細長く足がたくさんあるビッグゲジーの動きを封じてはくれない。


「効果がないみたいなんだけど~!!」


「諦めたらそのまま餌になるだけだぞ!冒険者だろ?考えろ!」


「まだEになったばかりのね!バーンこそBランクの冒険者でしょ?!何とかしてよ~!」


バーンとしても何とかしたいのは山々だったが大技を使えばユナを巻き込むし洞窟が崩れるしビッグゲジーの外皮が硬くて剣が通らない。

柔らかい部分を狙えばいけるが、ビッグゲジーは両断しても直ぐには死なずに分裂した状態で襲いかかってくるので厄介だ。


バーンがどうするか悩んでいる間に状態に慣れて段々と落ち着きを取り戻してきたユナは、虫ごときに怯える自分に腹が立ってきていた。


「バーン、ちょっと離れて。」

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